死に神
父を病院で付き添い介護している頃、何度か耳にした問い掛けに以下のようなモノがあった。
「今日、3号室へ入った患者さん、自分のベッドで前の人が死んだばかりというのを知ってるんじゃろうか?」
確かに、長期か短期間か分からないまでも、自分がこれからお世話になるベッドで他人様が亡くなったばかり、というのはあまり気持ちの良いものではない。
とはいえ、それは単に、表現にトゲがあるかもしれないが、死にたてホヤホヤのベットである、ということにすぎない。つまり、入院に利用されるベッドなどというモノは、少なくても一人や二人、ご臨終の場面を文字どおりに下から支えてきたはずだ。
“死に神”
こんなモノは、存在するといえばどこにでもウロウロしている。オレは不謹慎かもしれないが、霊柩車とかち合わせると、シッカリと見据えるように心掛けている。
見据えることに意味はない。ただ、そういう類の不幸に便乗して不透明な迷信が闊歩していることに腹立ちがあるだけだ。
どこの誰さまとは記せないのだけれど、母が、その誰さまから我が家の家系図なるモノを見せられたらしい? デタラメな家系図だと確信できるが、何代か以前のご先祖さまに、あまり宜しくない方がいたとのことで数十万円単位のある物品を購入するよう薦められたとのこと。購入すれば悪霊が消え、我が家の運が開けるとのこと。開運ですな。
詐欺なのだが、それはそれ。オレがここで声を張り上げたいのは、どこのご家庭でも、何代? 十何代も以前にまでも遡れば、宜しくないご先祖さまの一人ぐらいはいるに違いないはず。
でだ、母が今、利用している医療ベッドは他人様から頂いたモノ。前利用者はパーキンソン病を患われ、このベッドでお亡くなりなったことを知らされれている。ご家族はベッドを粗大ゴミで出すには忍びなく、誰かに利用して欲しいとクリーニングも済まされていた。
オレも正にベッドを探していた。ビンゴ!! 3モーター稼働の高級品なのだ。
オレは、心でたまに呟く。
「死は、死を恐れる者を、まずは速やかに選び出す」
中米・ニカラグアの革命家 アウグスト・サンディーノの言葉からの引用。もちろん、戦意高揚の意味合い強だけれど、
“死に神”
を上手く活用する輩・詐欺師に騙され負けるわけにいかない。
今、母は頂いたベッドで快適に過ごしている。
そして、できれば、母がこのベッドで逝った後、利用してくれる誰かが現れることをオレは望んでいる。
ベッドは、背中が上がり 脚も上がる。高さ調整もバッチリの優れもの。
コメント
こんにちは
わたしも古いベッドを貰ってつかっていました。前の持ち主がお亡くなりになっていましたが、ありがたく使わしていただきました。3モーターは便利ですからね。私の場合はあまり気にならなかったですね。
やすくん さま
そうでしたかー
病院なんかでも3モーターはあまり普及してないような?
そういえば、そろそろクリーニングしてやらないと
上下移動でギーギーと鳴き始めました。
次に利用してくれる人のためにもメンテナンスしっかりとしておきます。
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