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野田明宏の「俺流オトコの介護」

生きてるって感じ

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 火曜、金曜&日曜。母はデイサービスがお休みなので我が家で1日を過ごす。オレの本心はと言えば、できることなら火曜と金曜もデイサービスへ出陣して欲しい。
 日曜は、デイサービスそのものがお休みだから、週に6日デイサービスを活用してもらうとオレ自身のライフワークも幅が拡がる。つまり、嫌な言い方だけれど、母に拘束される時間が減るわけだ。
 しかし、母が通うデイサービス。火曜・金曜に空きが出ない。もっとも、ショートステイに行かれた、入院された等、突然に空きが生まれ2週間丸々の出陣となったこともある。
 やれやれ。致し方ないことを愚痴ってしまった。
 母と1日を過ごすとき、オレは母にカメラを向けてパチリンコとやる。撮る構図で一番良いのが午前中。母を椅子に座らせているときだ。この椅子は入浴椅子で、座ったお尻の部分にほど良い大きさの穴が空いている。入浴中は、介護者がここから下を洗える。

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 もう一つの活用方。排便用でもある。オレもこの穴から母の肛門に指を入れ、数え切れないほど摘便をしたものだ。摘便については後々改めて記すが、摘便を経験するようになると、在宅介護者としての誇りのようなモノが芽生え始める。他者はどうか承知しないけれど、オレは在宅介護者として、
 「嗚呼! ここまで来たなあ!」
 と実感したものだ。
 TOPにある母の大欠伸ドアップ写真。母から“生きてるって感じ”を強烈に浴びる。
 寝たきりだって、ガオー だ。
 先週に撮ったモノだが、これも椅子に座っているときにだった。
 さて、冒頭辺りで、オレのライフワークと記した。今、環境新聞社発行の『月刊ケアマネジメント』に“僕らはみんな生きている”というタイトルで連載している。この画面左にあるオレのプロフィール最後にも記載してもらっているのだが、見開き2ページでドカーンと人物紹介する連載。
 例外はあるけれど、紹介する人たちは認知症等を患いながらも、シッカリ生きてるぞ、という高齢者方々。
 とはいえ、この企画を進めるということは、ご本人の承諾(意図を理解してもらえないことがほとんど)はもちろん、本人ご家族にも了解してもらわなければならない。当然、施設入所されてる場合であれば、施設側の協力も不可欠。とにかく、皆さんの好意と協力なくしては連載など不可能な企画。
 ただ、オレは今日に至るまで、多くの施設や在宅介護の現場に立ち・寄り添い、記事にはできない方もあったけれど、ルールだけは厳守してきた。ルール? 約束したことは守る。
 こんな過去の経緯もあって、協力してくれる人たちは極めて多い。でも、
 「そうそう。あそこの施設に、素敵な笑顔をするお婆ちゃんがいたなあ!」
 早速に施設に電話をすると、
 「もうADLが極端に落ちて、野田さんが期待されるような写真は無理ですよ」
 別日。
 「ウンコが付着した手で、オレのズボンを触っていたお婆ちゃんがいたな?」
 グループホームへ電話を入れる。
 「Mさん、経済的な折り合いから老人保健施設へ移られました」
 お年寄りを撮るということは、なかなかじゃないことを痛感。
 でも、だけど、
 ヤッパ、
 “生きてるって感じ”を表現したくて、
 アチコチに電話するオレがいる。
 以下に貼り付けてるのは、連載の第1回。

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興味を持たれた方は是非、雑誌を手にとってください。
『月刊ケアマネジメント』環境新聞社より毎月発行

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コメント


野田さま

はじめまして。
認知症の父を介護しはじめたばかりの中年娘です。
介護というより見守りですけれど。
最近、検索していて野田さんのブログを知りました。
今日ケアサポにアップとありましたから見てみると
大笑い。
お母様、生きてますね。
カクシダマのような写真。
心が温まりました。
これからも頑張ってください。


投稿者: 在宅介護初級者 | 2010年10月26日 10:55

在宅介護初級者さま

こちらこそ はじめまして。
そして、コメントありがとうございます。
お父上の見守りをされてますか...
これから、トンチンカンな事象と出会うこともあるはずですが、
温かく見守ってあげてください。
と言いつつ、自分のことは棚に上げて発言なんですけれどね。
私も父を含めれば12年目の在宅介護者ですが、
なんだか、いつまでも介護技術も我流。初級のままで今日まで来たような?
頑張らない介護が主流になりつつありますが、
敢えて、
お互い 頑張りましょう。


投稿者: 野田明宏 | 2010年10月26日 13:07

こんにちは。いきなり寒くなりましたね。急激な気温の変化はこたえます。歳を実感するときでもあります。けれど、まだまだひよっこみたいなものですけど。ウンチを克服したら「どこからでも来い!」という気になりますね、確かに(笑)。最近、社会の順序で物事を捉えるばかりでは駄目なんだと思うようになって、ようやく目の前のモヤが張れてきたような気がしています。むろん、それは避けては通れないけれども「生きてるって感じ」をいつも感じられるのがいちばん大事なんだと思います。私の介護もいつまでも初級止まりですけど、これ、ひそかに「ビギナー脱却宣言」です。


投稿者: miyata | 2010年10月27日 11:22

miyataさま

どうもお久しぶりです。
お元気なご様子、なによりです。
miyataさんのブログが、
一ヶ月以上更新されてないままで10月を迎えましたから、少々心配いたしておりました。
しかし、miyataさんにはファンが多いですね。
miyataさんの文面を読んだ後、私のを読むと、トホホであります。一応、プロとしての自覚はありますから。品格を問われると、またしてもトホホですけれど。
さて、確かに、在宅介護者として下の世話と真正面から向き合えるようになると、そこそこイケてる領域だと信じています。
でも、どうしてもオトコは力任せになり、被介護者の気持ちを察することまで考えない傾向あり、のような気がします。
とはいえ、在宅介護なんてのを長くやってますと、
振り返れば、
生きてるってかんじ

死んだ方がまし
の境をウロウロしてきたように思えてなりません。
miyataさん、ビギナー超えですか?
私は、人生も介護も全て我流なので、生涯ビギナーであります。
寒気が入ったり、台風到来であったり、季節の節目が見えませんが、奥様もmiyataさんもお身体ご自愛ください。


投稿者: 野田明宏 | 2010年10月28日 12:58

 こんにちわ。いつも楽しく拝見しています。
 北海道は先週から雪虫が飛び交い、昨日は雪が降った所もあります。もう溶けていますが、遠くの山の頂は白い帽子をかぶっています。車もタイヤを履き替え冬支度。
 お母様ののびのびとした表情、いいですね。笑ったり怒ったり食べたり歌ったり…その日その日を懸命に生きている利用者さんに誠意を持って関わろうと思います。
 人間としての学びをくれる利用者さん、ありがとう。そして和子さん、ありがとう。


投稿者: みき | 2010年10月28日 13:51

みき さま

こんにちは。
コメントありがとうございます。
北海道は寒そうですねー。
もっとも、そちらの方々には特別なことでもないですね。

母は、行政や介護福祉の概念では寝たきりですが、
やはり、シッカリ生きてます。
今日は、デイサービスへ出陣しない日なので、
今、私のそばのベッド上ですが、
天井に向かって目をキョロキョロさせてます。
失明してしまってるのですが、
なにかを感知しているがのごとく です。
懸命に生きてます。


投稿者: 野田明宏 | 2010年10月29日 12:18

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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