秋の空
稲穂が頭を垂れはじめ、ススキが顔をだし、青く高い空は突き抜けるよう。母が歩ける頃、正に秋ど真ん中の出来事だった。
オレと母はいつものようにcoopに買い物へ出た。もちろん歩いてだ。写真の道を二人で一緒に。
買い物を済ませ、帰路へ。今は閉店してしまったのだが、coopを出て3分も歩くとコンビニがあった。普段は全く無視して通り過ぎてしまう。ただ、どういう事情で立ち寄ったかは記憶にないのだが、コンビニへ入った。
コンビニはコンビニで、欲しくなるモノもある。何品か購入してレジ待ちをした。オレの後方に母。支払いの順番が来た。オレはレジ前に立った。するとレジ係のお姉さんが、オレに問うた。彼女の視線はオレのかなり後方。周囲では薄ら笑いが聞こえる。
「お客さまとご一緒の方ですか?」
オレはレジ係の視線の方を伺う。すると、母がそこにいた。裸足だった。棚にある品を手にとって見ていた。
オレは、母が直ぐ後ろにいるものだろうと思い込んでいた。オレの足先には、母の靴と靴下があった。
オレは猛烈に恥ずかしくなった。レジで支払いを済ませ、母に靴を履かせることもしないで、母の手を取ってそのまま逃げるようにコンビニから飛び出た。
靴下を履かせ、靴も履いた。コンビニから2分もしないうちにこの道に出る。空を見上げた。この写真、そのままだった。見上げてる間に、なんだか悔しくなり目頭が熱くなった。
隣を歩いているいる母を見た。笑っていた。ご機嫌の様子だ。
その母を見て、なんだか余計に悔しさがこみ上げてきた。目頭は熱いだけを超え、涙が溢れてきた。上を向いた。
写真のままであろう空が、涙で曇った。
さて、写真は10月7日に撮った。今も、母をデイサービスへ送り出してからcoopへ向かう。往復路、この道を通る。空を見上げたら、あの日の悔しさを思い出していた。
そして、このことを書こう! 帰宅し、カメラを下げて再び自転車に乗った。風を切る。
その風は、秋の香りだった。切なさをチョッピリ漂わせた。
コメント
秋ですねー
先日、野田さんの講演を聞いた一人です。
写真 素敵なアングル。
こんな空になら、涙落としても良いかなあ?
不謹慎ですが、そんな風に感じてコメントしてしまいました。
岡山市民さま
わざわざのコメント
ありがとうございました。
少し、青を強調しましたが、
構図は正解でした。
ずーーーと観てると、
空に吸い込まれるような錯覚に陥るようで?
藤川幸之助さんモドキになれそうです。
感性、揺さぶられますから。
これからも、ヨロシク です。
私にも、似たような経験があります。
悔しいですよね。自分がした事ではないのに他人に笑われた。でもそうなったのは何の落ち度も無い母の病のせい・・・
どこに、悔しさをぶつけたらいいのか。
それが自然にくやし涙にかわっていく。
私も、今でもトラウマのように時々よみがえります。
秋が、おとこまえさんの心をも感傷的にさせていく・・・
でも、(あの頃はまだそれでも歩けてたな~今のむなしさと、あの頃の悔しさだと、どっちがマシなんだ)って私は時々想います。
今となっては、それも我々にとって一つの修行だったのかと・・・
セブンさま
毎度 ありがとうございます。
総量規制はありませんので、
ドンドン
コメントお願いします。
でも、修行ですか?
自分だけでそっと、
怒り、悔しさを、私は消化してきましたね。
キツイなあ!
でも、ただただ踏ん張りつづけました。
そうであったような気がします。
何かジーンとするお話しです。
母親の笑顔・・・
どこにもぶつけることのできない気持ち
青い青い空・・・
思わずコメントしてしまいました。
my男さま
深い青が、
なんとも心を動揺させますね。
まあ、
生きてるって感じ
なんでしょうがね。
また ヨロシク です。
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