黄色の花束
敬老の日。
オレは、けあサポ9月22日掲載の写真を撮って帰宅。その後、母がデイサービスから午後5時前に普段どうりに帰宅してきた。
出迎える。母はアルツハイマーと診断された数週間後からデイサービスを利用し始めた。それからというもの、母がデイサービスから帰宅時、オレは玄関そばの窓から外を伺いながら母を待つのが日課となった。今のデイサービスは5カ所目。4年目となったが、胃ろう造設後からだ。
玄関口。夏は暑く冬は寒い。夏であれば汗を流しながら。冬であれば寒さに震えながら。もっとも、暑さと寒さに耐えられなくなると、部屋に戻り身体を冷やしたり暖めたり。帰宅時というのは、だいたい決まってはいるけれど、10分や15分の遅れは当然の世界だから。
だけど、なぜ、汗ダグであったり凍えたりしながら玄関口に待機するようになったか?
それは、どうにも忘れられない光景だった。デイサービスへ通い始めた初日だったように記憶するが、初日なのでオレもスコブル心配していた。帰宅時間になった。玄関から出、車が着く玄関前の道路で待っていた。デイサービスの車が見えた。いろんな不安がオレの脳裏で交錯。車が横付けされた。
途端、車中からオレの顔を見た母が微笑んだ。少し照れているようにも? スコブル嬉しそうにも見えた。職員にドアを開けてもらうと、直ぐに飛び出しオレの手を握った。
母とオレの心理的距離についてはこの連載で後々記すことになるのだが、あまり良い関係が構築できていなかった。でも、その距離のある関係をその瞬時に克服できたのだ。たぶん、だけれど、オレの推測では、アルツハイマーという病が母の心理的距離まで忘れさせてしまったのではないか?
そんなこともあり、オレは当初、母のアルツハイマーを良性アルツハイマーなどと勝手に呼称していた。
とにかく、最初が強烈だった。当然、今もこの日課を継続しているが、今夏はキツカッタ。やれやれ。
で、敬老の日の帰宅時。職員のTさんが花束を抱えている。微笑みながら、
「今年も届いたよ」
写真にある花束だけれど、今回の敬老の日で3回目となる。
オレは、最初のときTさんに聞いた。Tさんと花束の送り主は親しいらしいのだ。
「どちら様なんでしょうか? お礼だけはさせて欲しいんですが?」
「お母さんのファン。ということでええじゃない。ただな、お母さんのことは昔から知っていて、黄色が良く似合う女性だったらしいのよ。だから黄色の花束。一度も、お母さんと話をしたことはない、とも言ってたなあ!? ちょっとミステリーでいいじゃない?」
オレは詮索しないことにした。
ミステリーはミステリーのままが良さそうだから。
コメント
こんばんは。かえでのs妹です。遅くなってしまいましたが、ようやくコメントできました。
素敵なミステリーですね。
写真拝見しました。とても嬉しくなりました。自己満足でしかない世界ですが、少しは役に立ててるのかな?と思えました。ありがとうございました。
また遊びにいらしてくださいね。
Anonymousさま
どうもどうも。
コメントありがとうございます。
お約束、シッカリ厳守。素晴らしい。
お互い、放浪癖のある身同士、
また、T島あたりの逃亡者の生き様などを詳細に教えてください。
思うに、あなたは介護職が天職では と。
あの日、良い感じでした。
写真に添付する文面を作成しに、また寄らせてもらいます。
Mさんも、居心地の良い場所みっけですね。
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