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野田明宏の「俺流オトコの介護」

オレだけなんだろうか?

「野田さん。お母さんを一生懸命に介護しているのは理解できるけど、そこまで力一杯にしなくていいでしょう。“一生懸命”と“力一杯”は全く別よ?」
 本年二月、中京テレビが我が家の介護を取材しに来た。六分ほどニュース内で流れたのだけれど、番組録画を一緒に観ていた介護職の女性から冒頭の“もの言い”がついた。
 “もの言い”の場面はオレが母にリップクリームを塗っているところ。二月はもっとも空気が乾燥している頃で唇も乾く。とはいえ、“もの言い”がつく場面ではないのだ。その時点ではそのように確信しカチンとも来た。全く意味不明ではないか?
 ところが、改めて彼女の説明を聞くと、否が応でも納得せざるを得ないオレがいた。
 「なんで、あんなに強くリップクリームを和ちゃんの唇に当てるかなあ? ゴシゴシやってるだけじゃない。軽く唇に触れさす程度でいいのよ。和ちゃん、言葉が出せたら『痛い!』って言うよ? 絶対。和ちゃん、ガマンばかりだよねえ!?」
 母を、和ちゃんと呼ぶ親しい関係だからハッキリと言えるのだろうけれど、オレも番組録画のその場面を何度か見直してみると、母の唇にリップクリームを押しつけながら右に左に。確かに、指摘どおりに“痛いだろうな”と思った。参った! 返す言葉がなかった。深く反省。
 しかし、オトコの介護などというのは力任せのところが多分にあるのではないだろうか? なんだかいつの間にやら在宅介護という渦の中にいた、という男性軍のほとんどが我流だろう、と推測する。もちろん、介護技術を取得した男性介護職は別だけれど、在宅介護最前線に立つオトコたちのほとんどがオレ同様のオレ流で踏ん張り続けているのでは? と想像できる。
 オムツ交換にしても同様。オレがオムツ交換してるところに初めて立ち会ったときの訪問看護師さんやデイサービス職員等は決まって言う。
 「野田さん、そこまでビシッとオムツを固定すると、和子さん、お腹かが苦しいですよ。もう少しオムツに余裕をもたせないと。もっと緩くでいいんですよ」
 オレはオレなりに、オムツを緩くして母のお尻を包んでいるつもりなのだが、プロの目からはガチガチに見えるのだ。
 そりゃあ、力任せにやるのはダメだと分かるのだけれど…
 まだ、オレが母のオムツ交換という作業に慣れていない頃、母のオシッコが横漏れして何度かシーツを濡らすことがあった。あれがトラウマになっているような気がしないでもないのだが、キッチリしないと安心できないオレがいることは間違いない。
 母が排出したオシッコの量を、その度に計り、尿取りパッドの重さ分を差し引いてオシッコ帳に記入する。一日で最後の交換が終わり、
 「オオッ! 今日は1500CCも出た」
 などと、ここでも一安心。
 今は胃ろうで水分補給になんらの問題はないのだが、一食に2時間近くかけて食べさせていたころは嚥下困難が酷かった。その延長線に脱水症状。脱水が引き金になって何度か入院もさせてしまっている。だから、オシッコの量が母の健康のバロメーターだと思い込んでるオレ流介護。
 こんな思い込み&力任せ介護。オレだけなんだろうか?

訪問介護
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コメント


男の介護はきめ細かくとはいきません。主人を見ててもそう思います。でも、おとこまえさんと、お母さんの心が通じ合っていれば、ぶっきら棒(?)な手であっても、少々の事なら笑って許してくれてると思います。9年目に入られたそうですね。普通では出来ない事をされているのだから尊敬させてもらってます。これからも、男の介護を貫いて下さい。


投稿者: セブン | 2010年08月06日 14:57

こんにちは 

お母様を思えば ソフトタッチになっていただきたいところですが、
野田さんを思えば オレ流でないと野田さんがつぶれてしまいますね。

いつも 一生懸命と力一杯で 
それにソフトタッチは加わる余地はないのではないでしょうか。

なのに野田さんは、私たちの意見に耳を傾け、
『母を無視したことだけは一度もありません』と言われるように、
私たちにも 無視をせず、納得されたことは修正し、徹底して継続です。

これこそが 野田流の介護のように思います。

積み重ねて進化されています。

すばらしいことと思います。

引き続き、今後も出来る限り応援させていただきますので、

もの言いに負けないで 進化し続けてください。


投稿者: おけいさん | 2010年08月06日 16:06

セブンさま

はじめまして。
早速にありがとうございます。
9年目に入りました。
でも、ただただ9年間、母も、息子のすることだから
と、辛抱と忍耐だったのでしょうか?
もっとも、
こんなんだったら、死んだ方がましじゃあ!
などと叫ばれてもどうしようもないのですがね。
オトコとは関係なく不器用なだけかもしれません。
アッ! 今、となりのベッドで母がアクビをしました。
シッカリと生きてます。
応援、ありがとうございました。

おけいさんへ

どうもどうも ありがとうございます。
優しいおけいさんに慣れてないもので、
どう、ここで返信して良いのやら。
今後も、ご指導ヨロシクお願いします。
また、ホームの写真を撮らせてください。


投稿者: 野田明宏 | 2010年08月06日 19:19

こんばんは。
男の介護、まさに身につまされます。
介助の基本は腕力、考えることは最後は頭突きなどとほざいていたら、女房の脱水症に見舞われ自分の無知と非常識に鉄槌を下ろされました。
トラパとリンクありがとうございました。気づきが遅くてすみませんでした。身に余る光栄です。


投稿者: miyata | 2010年08月07日 19:59

miyataさま

頭とクーラーは使いようですけど、
クーラー、我が家も今年は稼働させすぎで、
クールダウンも必要かと? 
今、その最中で 汗 汗 汗


投稿者: 野田明宏 | 2010年08月09日 09:41

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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