『ただいま それぞれの居場所』
前評判があまりに高く・良かったので、ホンマかいな? と期待しつつも半分は差し引いて出向いた。母をショートステイに託したあとのその足で、介護職の友人と。
のっけから驚かされた。なにやらロン毛茶髪の若者が、机に向かっている。申し送り事項でも記入してるのか? その瞬間だけを捉えれば、オレにはとても介護最前線で働く人には見えなかった。背景は、朝陽が昇り始める頃。
その後、お泊まりしている利用者さん、そこでは先生と呼ばれているのだけれど、先生が猛烈に怒っている。若者は、
「先生、おはようございます。朝ご飯に行きましょう」
と促すのだけれど、先生の抵抗は激しい。若者が差し出す手を払いのけるどころか、先生のパンチモドキが若者に向かう。
「先生、なにするんですか?」
少し苛立ちをみせるものの、言葉は年長者を敬っている。
オレは、以前から確信していたことがある。
「介護の現場を表現するとき、映像は絶対に文章に勝ることはない」
と。
ところが、このドキュメンタリーを観て、この確信は崩壊してしまった。介護現場そのまんま、現実そのものを映像で撮るということは不可能であろうと考えていたから。
施設関係者はもちろん、利用者本人とそのご家族の承諾をもらうということ。映像ではあまりにリアルすぎてOKしてもらえるわけがない。そう思い込んでいたオレがいた。間違いだった。
ドキュメンタリーに引きずり込まれようにして見続けた。
笑えたり、涙したり。オレの感性はこんなに豊かだったのか? と、オレがオレ自身の感情のメリハリに驚いてしまう。
個人的には、『宅老所・デイサービス いしいさん家」の石井英寿さんにスコブル、心を動かされた。昭和50年生まれだから、まだ40歳に届いていない。
しかし、彼の発する言葉、介護哲学は優しさに包まれている。そして、天性のモノなのだろうけれど、キャラクターが可笑しく面白いのだ。
石井さんに会ってみたい。
密かにそのように思ってるのはオレだけではないはずだ。
結論。
介護職方々は必見。
在宅介護最前線ど真ん中の方々も、なんとか時間を作って見て欲しい。笑えます。心が和みます。もうちょっと踏ん張ってみようか? と前向きになれます。
介護とは無縁である人。見ると、チョッピリ優しくなれて、もう介護と無縁ではなくなってます。
コメント
野田さん、頑張ってんですね。
山陽新聞からのファンでした。
これからも応援してます。
owIさま
山陽新聞連載時からとは
ありがとうございます。
頑張りますんで、
今後ともヨロシクお願いします。
owI ふくろうさんですね
それって なあ~に?
どこでどうやって手に入れるの?
一度読んで?見たいとおもいます
時として病気である認知症の方々を かわいそうにとか 憎たらしい口をきいて などと 思いたくなる自分のための気分転換に 活用できるかなあ?
笑顔のまっこちゃんさま
お答えいたします。
山陽新聞というのは、私が住む岡山県全域をカバーする地方紙です。
今年の2月まで4年半、200回、
毎水曜に
アルツハイマーの母を支えて
というタイトルで連載しておりました。
前半約80回分は
アルツハイマーの母をよろしく
というタイトルで単行本になってます。
後半120回分は、単行本に縁がなかったようです。
ブログいつも読ませてもらってます。(本ももちろん)
多分、野田さんの影響が一番強いでしょう。介護を始めたころから・・・。
ところで「ただいま それぞれの居場所」ってどこで観られるのですか?
映画の上映館については、下記のサイトをご参照ください。
また、自主上映会を企画することもできます。
http://tadaima2010.com/news/?cat=1
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