ワーカーズ・コレクティブ
最近は「老後の住まい」について取材をすることが多く、首都圏を中心に高齢者施設を訪ねる機会が増えました。
そこでは、「ワーカーズ・コレクティブ」という働き方が、導入されている施設が増えて、施設と地域とを結びつける接着剤の役割を果たしていることを発見しました。
「ワーカーズ・コレクティブ」とは地域に暮らす人たちが、生活者の視点から地域に必要な「もの」や「サービス」を市民事業として事業化し、自分たちで出資し、経営し、労働を担う新しい働き方の組織をいいます。
介護の仕事を複数の働き手で分散し、現場を運営しているのです。施設側がワーカーズに業務委託し、ワーカーズに登録された働き手が介護施設に派遣されるシステムが一般です。しかし、通常の派遣とは違い、勤務地は1か所で、勤務時間は1日2時間程度から最大8時間まで。ヘルパー2級の資格を持っていても、家庭の事情で夜勤が伴う正社員やフルタイムでは働けないという、子育て中の女性や60代のシニア世代が、自分の都合に見合った勤務時間を選べるというメリットがあります。施設側も人員削減しなくても人件費抑制につながり、2人程度の入居者に対して1人のヘルパーが対応することも可能になっています。
施設は入居者の家族と関係者ぐらいしか立ち入ることはないため、地域から孤立してしまいがちです。地域の住民に働き口を提供すれば、これまで介護とは結びつかない世代の人も、気軽に足を運べるようになります。
一方で、介護の質が下がるのではないかといった懸念の声も上がっています。働く時に資格がなくても、取得目標が条件になっていたり、職種に応じてのレベルアップを図れるので、懸念の声を払拭できるのではないでしょうか。また、ワーカーズの働き方が定着すると、介護職がパート化すると不安視する声もあります。今、介護の現場は慢性的な人手不足ですが、財政面を考えると、人手不足を緊急に解消できるベストな方法だと思います。
村田さんの本ができました!
アラフォーおひとりさま週刊誌記者を突然襲った母親の介護……。切実な実体験+介護施設の選び方、仕事との両立方法など介護情報満載。
『おひとりさま介護』河出書房新社
定価1,575円(本体1,500円)ISBN 978-4-309-01989-5
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