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村田くみの「シングル介護のホントのところ」

日本は街はバリアだらけ

 今年のゴールデンウィークは好天に恵まれてお出かけ日和でした。介護者にとってこのお出かけ日和がまた大変。ただでさえ人ごみの多い時期に車いすで街を歩くのは困難がつきものだからです。
 私自身、車いすの手押しに慣れていないので、母を外に連れ出す時は本当に苦労しました。私の自宅は賃貸マンションでエントランスはオートロック式です。カギをかけてガラス戸が開けても、すぐに閉まるので一度、車いすごと挟まってしまったことがありました。賃貸マンションはそもそもが車いすでの生活を想定していない作りになっています。
 玄関も狭いので車いすを開くことができず、一度、玄関の外に椅子をセットして、そこまで母を連れていかなければなりませんでした。歩道も意外とでこぼこが多く、あまり勢いつけて車いすを走らせると、体がはずんでしまったり、横断歩道で対岸の歩道がほんのわずか嵩上げされていたために、車いすが乗りあげられずに立ち往生。通行人に手伝ってもらったこともありました。
 日本は街はバリアだらけです。JRはほとんどの駅にエレベーターが備えられて、声をかければ駅員さんも手伝ってくれます。電車に乗る時にはさほど困難はありませんでしたが駅まで行くのが問題です。
 一般のタクシーに乗る時には、一度車いすをたたんで、トランクに収納しなければならないのでとても面倒。駅近の大型スーパーやデパートもバリアフリー仕様の店はまだ少なく、エレベーターも小さいのが難点です。乗ろうとすると、他のお客さんが乗れなくなくなってしまうので必ず白い目で見られてしまいます。また、商品棚の間隔も狭いので、洋服を選ぶ時も、店の外に待機している母からオーダーを聞いて、私が2~3枚選んで、母に見せる……。自由に手にとって選ぶことができないのです。
 せっかく外に連れ出しても、買い物も思うままにできないのがもどかしいと、引きこもってしまいます。
 もう少し、車いすにやさしい街になってくれるといいのですが、現実は厳しいですね。

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プロフィール
村田くみ
(むらた くみ)
1969年東京生まれ。会社員を経て1995年毎日新聞社入社、週刊誌「サンデー毎日」所属。主に経済、環境、介護の問題に携わる。現在、母親の介護に従事しながら、介護の体験記、介護者に役立つ情報を適宜発信中。
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