介護保険サービスをよりよく使うために
先日、あるインターネットの書き込みで、こんな意見を見かけました。
親御さんを介護しているお子さんからの投稿でした。要介護認定を受けて、デイサービス(通所介護)に一週間のうち数回、通うことになったけれども、戸惑うことが多いとのことでした。
デイサービスは朝、職員が車で迎えに来てくれて、食事や入浴、リハビリ、レクレーションを受け、夕方に自宅に戻るのが一般的です。私の母も、介護認定を受けたばかりの頃、利用していました。職員が迎えに来てくれるのは、「玄関のドアまで」と、取り決めがあり、部屋まで自力でたどりつけない場合は家族か、家族が不在の時はヘルパーを利用して介助することになっていました。
書き込みにはこの部分。デイサービスの職員が送迎の際、どこまで担当してくれるのかが、介護をスタートしたばかりの頃はわかりにくいというのです。
私の場合は利用前、ケアマネジャーと、デイサービスの責任者が自宅に来て、送り迎えの際の段取りについて、綿密に確認していきました。玄関の外に車いすを出しておく、玄関の外まで母を連れ出すのは私の役目。帰宅時は、職員が車いすをたたんで玄関の中にしまう。私は仕事で帰宅していない時間帯なので、母は靴を脱がしてもらってから壁などをつたって一人で部屋までもどって行ったと聞きました。
また、書き込みの方の場合はエレベーターがない2F以上の住居にお住まいだそうです。親を介助しながら階段の上り下りは一人では無理、玄関前まで職員の方が来てくれるのかどうかを不安そうでした。
私も気になったので市区町村の「地域包括支援センター」に聞いてみました。利用前の打ち合わせの時にケアマネジャー相談し、職員に玄関先まで来てもらいたい、という要望を出せば、対応できる事業者を紹介くれるとのことでした。自宅介護は要介護度や体調によって、さまざまです。わからない時、「どうしよう」と自分で考え込む前に、細かい内容でも相談してみることが大切ですね。
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アラフォーおひとりさま週刊誌記者を突然襲った母親の介護……。切実な実体験+介護施設の選び方、仕事との両立方法など介護情報満載。
『おひとりさま介護』河出書房新社
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日本は街はバリアだらけ
今年のゴールデンウィークは好天に恵まれてお出かけ日和でした。介護者にとってこのお出かけ日和がまた大変。ただでさえ人ごみの多い時期に車いすで街を歩くのは困難がつきものだからです。
私自身、車いすの手押しに慣れていないので、母を外に連れ出す時は本当に苦労しました。私の自宅は賃貸マンションでエントランスはオートロック式です。カギをかけてガラス戸が開けても、すぐに閉まるので一度、車いすごと挟まってしまったことがありました。賃貸マンションはそもそもが車いすでの生活を想定していない作りになっています。
玄関も狭いので車いすを開くことができず、一度、玄関の外に椅子をセットして、そこまで母を連れていかなければなりませんでした。歩道も意外とでこぼこが多く、あまり勢いつけて車いすを走らせると、体がはずんでしまったり、横断歩道で対岸の歩道がほんのわずか嵩上げされていたために、車いすが乗りあげられずに立ち往生。通行人に手伝ってもらったこともありました。
日本は街はバリアだらけです。JRはほとんどの駅にエレベーターが備えられて、声をかければ駅員さんも手伝ってくれます。電車に乗る時にはさほど困難はありませんでしたが駅まで行くのが問題です。
一般のタクシーに乗る時には、一度車いすをたたんで、トランクに収納しなければならないのでとても面倒。駅近の大型スーパーやデパートもバリアフリー仕様の店はまだ少なく、エレベーターも小さいのが難点です。乗ろうとすると、他のお客さんが乗れなくなくなってしまうので必ず白い目で見られてしまいます。また、商品棚の間隔も狭いので、洋服を選ぶ時も、店の外に待機している母からオーダーを聞いて、私が2~3枚選んで、母に見せる……。自由に手にとって選ぶことができないのです。
せっかく外に連れ出しても、買い物も思うままにできないのがもどかしいと、引きこもってしまいます。
もう少し、車いすにやさしい街になってくれるといいのですが、現実は厳しいですね。