施設での火の用心
介護施設での大規模な火災が相次いでいます。昨年3月「静養ホームたまゆら」(群馬県渋川市)での火災では7人の入所者が亡くなりました。
ちょうど一年後、今度は札幌市のグループホーム「みらい とんでん」(札幌市北区)で7人が犠牲になりました。
昨年の「たまゆら」では、後に「火災が起きた原因」よりも、都心に住む身寄りのないお年寄りが、住民票を移さないで郊外の施設で過ごしていたことが問題となりました。
この件を受けて今年4月から、現行の軽費老人ホームの基準を緩和した「都市型軽費老人ホーム」整備費補助事業が始まりました。地価の高い都市部でも低所得高齢者のための住居が提供できるようになったのは喜ばしいことですが、一方の「火災を防ぐ」ことについてはあまり議論されていません。私も家族が施設(ケアハウス)で過ごしているので、その点は他人事とは思えずとても気になりました。
厚生労働省の08年調査によりますと、入居者9人以下のグループホームは4割が赤字です。スプリンクラーや自動的に119番通報する火災通報装置は経営的にも設置できない状況がありました。スプリンクラーの補助も小規模施設は対象ではなく、今回火災を起こした札幌の施設も対象外でした。入居者9人のうち6人は自力で歩けないのにも関わらず夜間の職員は1人。出火時は女性職員が備え付けの消火器で消そうとしましたが断念し、やけどを負いながら脱出して交番から通報しました。夜間1人で看なければならないのならせめてオール電化に、火を使うのであれば消火設備の設置、補助も徹底してもらいたいです。
ちなみに私は施設選びの時に注目したのは、金額もさることながら、安全面でした。母が入居する施設は、個室には火災報知機が付き、各フロアーの食堂でお湯を沸かす時には電気ポット。ガス台は付いていません。居住者の食事は一階の調理室で作られ、それが運ばれてくるので、居室では火は使わない構造になっていました。
施設選びの際に見落としてしまいがちですが、「火の元」がどうなっているかは大事なチェック項目です。
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