入所のハードル
介護をしながら働き続けるためには、一定期間でもショートステイに入所をしてもらうことが求められるのですが、入所にはハードルがあります。
ひとつは「入所待ち」が長いこと。私も最初、母のショートステイ先を探していた時、一か月ほどは待つと言われたことがありました。初めて利用する際には「お試し入所」が一泊二日程度あり、そこで本人も過ごせると判断した上で、予約を取るので、時間がかかってしまうのです。
また、母には必要ありませんでしたが、介護施設では職員が行うことができない「行為」があるため、要介護度が重く優先的に入所ができる場合であっても、その「行為」が必要と判断された場合は、入所が不可になってしまうのです。「行為」とは口腔(こうくう)内のたん吸引と、穴を開けた腹部に流動食を入れる「胃ろう」のことです。
1年半ほど前、介護者のシンポジウムに参加した時、中年の男性が今にも泣きだしそうな声を出して、「このまま自宅での介護が続けば私は会社を辞めなければならない。施設に入れるようになんとかしてほしい」と、訴えていました。
男性の母親は「たんの吸引」と「胃ろう」が必要だったそうです。胃ろうは、朝食時は男性が行い、昼と夕はヘルパーが担当することで、役割は分担できたのですが、問題は「たんの吸引」です。ヘルパーが帰宅した後は男性が会社から急いで帰宅し、母を見守っていたとのことでした。ただ、働き盛りのビジネスマンですから急な出張や、残業もあります。毎日定刻で会社を出るのが、だんだんうしろめたくなってきたのです。、
厚生労働省は、医師や看護師しかできない「たん吸引」などの医療行為の一部を、特別養護老人ホームの介護職員が担うことを特例として認める方針を決めました。4月中にも都道府県に通知する予定です。
これで男性の母のような方も入所できることになるのですが、実際には介護施設の現場では、慢性的な人手不足。見守りを徹底しなければならなくなるので、すんなりと導入されるかどうかは疑問です。
「入所待ち」をなくすためにも、施設と人手を増やすことが求められています。
コメント
こんにちわ。いつもは意見させて頂いております。
痰の吸引についてですが、本当に対応可なんのでしょうか?
口腔内の痰のみという限定された状況である記事を観ましたが・・・。
shinnさん、書き込みありがとうございました! また、返事が遅れてしまって申し訳ありません! ここのところ、たてこんでおり@@目が回っていますが、来週のコラムでしっかりとお返事を書かせていただきます。
よろしくお願いいたします。
shinnさんのコメントにつきまして、編集部より細くいたします。
【介護職員が行える医療行為の範囲が一部緩和されました】
口腔内のたんの吸引と胃ろうによる経管栄養(チューブの接続や注入速度の設定、状態の確認を除く)といった医療行為について、特別養護老人ホームの介護職員が行うことを容認する通知が4月1日に厚生労働省より発出されました。実際に行うには、書面による入所者の同意、看護職との連携・協働、配置医による承認、研修の受講などが条件となっています。医療行為は本来、医師や医師の指示を受けた看護師らにしか認められていませんが、高齢化や介護度の重度化に伴い特養において医療的ケアが必要な入居者が増えていることに鑑み、容認されることになりました。
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