大沢逸美さんから学ぶ介護の「ご近所力」
以前、「孤独死」の記事を書いた時、「ひとり親をどう見守るか」を焦点に当てて取材をしました。5割以上が高齢者といわれる東京都新宿区の戸山団地では、外出もままならない高齢者を見守るため“ご近所力”が発揮されていました。住民40人が有志で「見守り隊」を結成し、お年寄りの自宅を訪ねて安否を確認していたのです。
私も仕事に出かけた後、一人で留守番をする母親が心配でした。マンションの管理人さんとは挨拶を交わすことはあっても、隣は誰が住んでいるかわからないほど、居室同士が孤立していたからです。
前回、お伝えした「見守り機器」で対処できればいいのですが、なかにはお金をかけられない場合もあります。最終的に頼れるのはやはり、人の力なのでしょうか。
「ご近所の力で母は本当に助かりました」
取材の時にそう話してくれたのは、女優・大沢逸美さんでした。
大沢さんは、25歳でお父様を亡くされた後、病弱なお母様の面倒を一人で看てきたそうです。2002年に看取るまで、ご近所の手を借りながら切り抜けたと聞きました。仕事も不規則、舞台で長期間、家を空けた時などは、体が不自由なお母様を気遣って、近所の方がパートの行き帰りに自宅に寄って食材を届けてくれたり、ちょっとした身の回りのお世話もしてくれたそうです。
お母様は庭いじりが得意で、元気なうちはご近所のお庭で花の手入れなどを率先して行っていたそうです。さりげないコミュニケーションの積み重ねがあったのでしょう。いただきものを多くもらったとしたら、お隣さんにも配ったり、日々いい関係を保っていたのですね。
病気になった時、マイナス思考から引きこもってしまいがちですが、大沢さんは「外に出る勇気を持って」とアドバイスをしてくれました。
私もその話を聞いてから、あいさつはなるべく交わすようにして、庭いじりは不得意なので敷地内の「ゴミ拾い」から始めてみました。
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