夫婦のかたち
とても仲良しのご夫婦がいます。
お父さんの入浴介助で伺うのですが、着替えから洋服の準備から浴後の水分補給の用意まで…お母さんがなんでもやってくれます。
そしてそのお母さんがとっても元気!
クニ「こんにち…」
おば「こ〜んにちはあ〜。」
遠くからお母さんの声が。
華奢で小さく足も少し悪いのに必ず玄関までお出迎えに来てくれる。
そしてここからがお母さんの本領発揮です。
おば「今日はねえ〜。お父さんと近くにできたコンビニまで散歩にいったのよお〜。お父さんたらゆっくり歩いてるんだけど疲れちゃったみたいでねえ〜。結局なーんにも買わずに帰ってきて、あら!疲れただけじゃな〜い?って今話してた…」
は、話が終わらない…!!( ̄Д ̄;)
そう、お母さん毎回必ずマシンガントークを繰り広げてくるお喋りの達人。
お父さんはふんふんという感じで話を聞きながら椅子に座ってお母さんの合図を待っています。
クニ「じゃあそろそろお風呂の準備でもしましょうか…?」
おば「あら!そうねええ〜。お父さんっ、ほら脱いで!脱いで!」
やっとお母さんのGOが出ました。
ここからはスムーズ。(*゚▽゚)/゚
お父さんはところどころ介助が必要だけれどお風呂が大好きで率先して浴室まで歩いてくれて洗えるところは自分で洗う。
私の役目はお父さんの安全確保と手が届かないところを洗って流すだけ。
なーんの問題もなく毎回必ず同じ時間で入浴は終わります。
でもここからが本番なのです。
おば「昨日病院に行ってきたのよ〜。」
『え?お父さんどこか悪いのかな…』見た目お元気そうで入浴も問題なかったので心配になりました。
おば「膝に水がたまっていたみたいでねえ、今度抜くことになったのよお、わたし」
わたし?…って
お母さんの病状報告だったの〜!?(゚Д゚;)
おば「本当にこわいわあ。でもこれで楽になるならね、仕方ないわよね」
クニ「そ、そうですね」
おば「それに今日ね、さっきまで生協のお兄さんが来てたんだけど、わたし注文のメモ用紙を無くしちゃってね〜!何頼んでいいかわからなくなっちゃったの!だからね…」
そのまま生協の話でこの日の訪問時間はいっぱいになってしまいました。
結局お父さんの体調はお変わりなかったのだろうか…?
毎回こんな感じで退室することになります。
まあでもお父さん元気だったしね。大丈夫よね。
そう自分に言い聞かせて事務所に帰るのでした。
そして月末。
利用者さんの状況を報告するため、用紙に今月の身体の状態や何か問題は起こっていないかなど記入をすることになっています。
私は今月このご夫婦の担当だったので状況を思い出しながら記入を始めました。
すると…
『確か膝に水がたまって病院に……あ、それお母さんの話だった』
思わずお母さんの状況報告をしてしまうところでした。
気をとりなおして
『生協のお兄さんにメモを渡せなくて…あ、これお母さんの話……』
大変です。
本来の利用者さんであるお父さんの話が全く浮かんでこないш(´[]`)шのです。
お母さんの身体の状態、気分、出来事はどんどん浮かんでくるのに!!
私は反省しました。
いくらお母さんが教えてくれないからといってそれでよしとしていてはいけなかったのです。
お父さんの最近使っている薬や通院などの際に何か言われなかったかなどこちらからどんどん聞いていかなければいけなかった…!
でもお母さんが目を輝かせて一生懸命話してくれる姿を見るとつい聞いてあげたくなっちゃうんだよなあ。
それにお父さんはいつもおだやか〜にお母さんが一生懸命話している横で幸せそうにお茶を飲んでいるんです。
お母さんの元気がお父さんの平和につながっている。
そう思うとお母さんの話を聞くのも私たちの大切な仕事の一つだと思えます。
これからはお母さんの話の合間に、上手に合いの手のようにお父さんの様子も聞けるようなヘルパーになることを目標にしよう、うん。
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