案ずるより産むがやすし
病院…そこは時に病気を治してくれるところ、そして時に痛い思いや辛い思いをしなければならないところ。
今回訪問のおじいちゃんはそんな病院が大嫌いな方です。
おじ「オレは病院に行くのが何より嫌いなんだ。」
クニ「でもそろそろ…定期検診に行った方がいいんじゃないでしょうか。先生も待ってるみたいだし…」
おじ「行かないったら行かない!!」
そういって煙草をふーっとふかして
おじ「オレはずっと家族も持たず一人でいたんだ。今後も誰にも頼らず生きていくんだ…」
と一人の世界に入って帰ってこなくなりました。
足が悪いおじいちゃんは持病もありいろんなところが痛んだり不自由だったりするはずです。私なんか具合が悪いとすぐ病院に行っちゃうんですけど、おじいちゃんは我慢強いのか面倒くさいのか微動だにしませんでした。
そんなある日
『今日こそ定期検診の承諾をもらってやる…!』やる気満々で私がおじいちゃんの家の玄関を開けると
クニ「あれ?」
いつも窓際で煙草をふかしているおじいちゃんの姿が見えません。
声をかけてみようと部屋へ入ってみました。
クニ「おじいちゃ……!!!!!」
なんとそこにはベッドで血だらけになって横たわっているおじいちゃんの姿がありました。
おじ「こ、こ…」
意識はある!
おじ「ころんだ…」
部屋を見渡すと血痕がトイレから続いています。
どうやらトイレで転倒した様子。
クニ「救急車を呼びましょう」
おじ「い、いい…!!タクシー呼んでくれ!」
ええ〜!
じゃあ私が付き添って病院まで行くってこと!?Σ( ̄ロ ̄lll)
どうしよう、途中で具合でも悪くなったら何もできないよ〜!!
とりあえず事務所に電話して状況を話すとそれだけしっかりしていればタクシーで急いで病院に行ってもいいんじゃないかとの指示で結局私がおじいちゃんと病院に向かうことになりました。
ヨロヨロしているおじいちゃんをなんとかタクシーに乗せます。
その車の中でもおじいちゃんは
おじ「くそう…病院に行くなんて…ちきしょう…」
くやしがってる場合か〜!!\(゚ロ゚;)
と思ったけどそれだけ活気があれば多分大丈夫。
やっとの思いで病院に着き、医師や看護師さんに引き継いで私の役目は終わりました。。。
その日からおじいちゃんは入院。
怪我の治療はもちろん、ここぞとばかりに色々な検査や栄養管理を受けているそう。
ああ、良かった。
これで少しは病院に慣れてくれるんじゃないか…いやいやそう甘くはないか。あれだけ嫌ってたもんなあ、病院。
たまたまおじいちゃんの入院している病院に行く用事があったのでそんな事を思いながら歩いていました。
すると…
クニ「あれ?おじいちゃん?!」
ちょうど入院中のおじいちゃんが看護師さんと車椅子で散歩をしているところでした…が!!
今までに見た事ないような満面の笑みを浮かべているおじいちゃん!
一瞬別人かと思いましたが
おじ「おっ!あんたか〜オーイ!」
すごいスマイルで私に手をふっている!
やっぱり本物だ〜!w( ̄▽ ̄;)w
実はおじいちゃん、いざ入院してみたらご飯はちゃんと出してくれるし若い女の人(看護師さんなど)とはお話できるし体調も良くなって、他の誰よりも入院生活をエンジョイしているとのこと。(先輩ヘルパー談)
そ、そんな…今までの苦労はなんだったのだろうか。
いや、おじいちゃんが幸せならそれでいいんだけどね。
でもそんなに入院生活が楽しかったら退院の日はさぞやご機嫌が悪くなるだろうなあ、と退院のお手伝いをする私たちヘルパーはびくびくしてしまうのでした。
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