初めての送迎
「うちには天皇陛下が来られたんだよ」
あら。
おばあちゃんたら…今まで色んな作り話を聞いてきたけどこれまた随分大胆なお話だわ。(*´σー`)
と思ったら!
なんと実話だったのです〜。(゚д゚;)
今回のお宅はある伝統工芸品を代々作っているお家で地元の名家。
廊下には天皇や皇后のお写真が飾ってあるではありませんか。
「本物のお嬢様だ!」そう思ってびびる私。
でも実際は
おば「いま先生からもらった宿題やってるのよ〜」
と算数のドリル(老化防止のための)を解きながら自然に話しかけてくれるすっごく気さくなおばあちゃん。
よ、良かった…。
家が広いので掃除も大変では、と心配していたらこちらでの仕事はおばあちゃんの入浴介助のみ。
家政婦さんがいて娘さんとも同居しているからです。
お風呂もめちゃくちゃ広くて綺麗で暖房も入るし他のどのお宅よりも介助しやすい。安全には気をつかうけど肉体的にはとても楽…といえるのに
おば「まあ大変なお仕事、えらいわねえ。家の者じゃこんなことできないから。本当にありがたいわぁ」
などと優しいねぎらいの言葉までかけてくれる!
ヘルパーを本当に大切に思ってくれるのです。
しかし家政婦さんに対しては…
おば「カナさん!ちょっと洋服出てないわよ!」
「カナさん、お風呂から上がったら肩のマッサージでしょ!」
「カナさん、お茶を早くいれなさい!」
ととても厳しいのです。(家政婦さんはカナさんといいます)
おば「この子は本当に気がきかなくてね〜料理も上手くないしねえ。トロイのよ、ほんと」
お、おばあちゃーん!!後ろにカナさんいますけど〜(; )゚ロ゚)」 オーイ!!
家政婦さんは控えめにたたずみ、おばあちゃんの後ろで申し訳なさそうに微笑んでいる…。き、気まずい。(; ̄□ ̄
家政婦さんには厳しく!その線引きはしっかりやる。
これがお嬢様スピリットなのか。。。
そんな状況にドキドキしていたら家政婦さんが用事で席を外したのでほっとして
クニ「この窓際のお花、綺麗に咲いてますね〜」
とおばあちゃんに話しかけました。
おば「それカナさんが育ててるの」
ヤバイ…いけない話題ふっちゃった!?と思っていると
おば「カナさんのお花はすごく綺麗なのよ」
えっ…!!ほ、褒めてる?
おば「あの子もねえ、もう何十年も家にいるけど何度教えても相変わらずトロくて。でも性根のいい子でね。お花もわかるのかしらねーあはは」
おばあちゃん…ちゃんとカナさんのこと認めて可愛がってるんだ。
なんだかその一言にとても愛情を感じたのです。
きっとカナさんもそれを分かっているんだろうなあ。
そんな風に思っていると外で大雨が降りだしました。
歩きで来ていた私は時間も過ぎていたので挨拶をして帰ろうとすると
おば「カナさん、ヘルパーさんを車で送ってさしあげて!」
ええっ!!(||゚Д゚) お、送る!?
ヘルパーを送迎してくれる利用者さんなんて聞いたことない。
クニ「大丈夫です!そんなに遠くないですし、本当に…」
おば「カナさん!早くして!」
鶴のひとこえ…
一家の長には誰も逆らえません。
結局生まれて初めて利用者さんの車で送ってもらい恐縮しまくりで帰ってきた私でした。
お嬢様歴90年のおばあちゃん。
確固たる信念で家族を守り、伝統を守り、家政婦さんを育て、一家を統率している。
その凛とした姿なんだかとても格好いいなあと思ったのでした。
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