名乗るほどの者では
その日Bさんは朝から体調がすぐれませんでした。でもなかなかお休みできないのがこのお仕事。なんとか利用者さんのお宅へ行きました。
しかし…
どうしてもどうしても我慢できない腹痛がっ; ̄ロ ̄||||)!!
先輩を襲ったのです。
でも利用者さんの家でトイレを借りる、しかもソッチの方をいたすなんてとてもじゃないけどできない…。
そこで先輩は思いつきました。
先輩『今日は買い物がある日。このお宅の近くにはウチの事業所系列の病院がある…!買い物に行く時少しだけ寄らせてもらおう!』
本来ならサービス中に私用でどこかに寄るなんてもちろん御法度ですが緊急事態です。仕方ないです。
必死でこらえながらおじいちゃんに買い物の品を聞いてヨロヨロしながらトイレに辿り着いた先輩。
先輩「良かった…!!」
なんとか間に合い急いでさあ、サービス再開です。勢い良く手を洗っていると
「た…たすけてぇ〜…」
ん!?今何か聞こえた?
「たすけてください〜…たすけてください〜…」
やっぱり聞こえる!!それはトイレの中から助けを呼ぶ誰かの声…。
先輩『他に誰もいない…わ、私呼ばれてる〜!!(゚ロ゚;)』
サービス中で一刻でも早く戻らないといけない先輩でしたが…他に人を呼ぶ時間もなく、トイレに駆け寄り声をかけました。
先輩「大丈夫ですか?!」
「出られなくなってしまったんです〜」
声の主はどうやらおばあちゃん。
先輩「なんとか鍵を開けてもらえませんか?」
そう呼びかけると
ドンッ!!ガチャ、ガチャ、……ガチャン!!
先輩「開いた……あっ!!」
するとそこには和式トイレから立ち上がれなくなってしまった小柄なおばあちゃんが目をうるうるさせながらしゃがみこんでいました。
和式!!よりによって和式トイレに入っちゃったんだ〜!
おば「ひざと腰が悪いもので立ち上がれなくなってしまって…」
先輩「大丈夫ですよ!」
そこは介護のプロ。おばあちゃんを手際良く立ち上がらせて無事トイレから救出しました。
おば「まあ…本当に本当にありがとうございます」
先輩「いえいえ!では私はこれで…」
速攻で立ち去ろうとする先輩。しかし礼儀正しく律儀なおばあちゃんはまだ話したいことがあります。
おば「どうかお名前を…」
名前〜(T△T)!!
今自分は緊急事態とはいえサービス中にトイレに入っている身…。
しかもここは事業所の系列病院。おばあちゃんが丁重に病院にお礼でも伝えた日にはあっという間に面が割れてしまう。。。
先輩「いいえ!名前なんて!それより次はぜひ洋式トイレをご使用くださいませ!!」
そう言い残し先輩は猛ダッシュでおじいちゃんの家に帰りました。。。
クニ「先輩!めっちゃ格好いい人じゃないですか、それ!」
B先輩「格好良くなんかないよ〜寿命縮まったわ…」
おばあちゃんはますます先輩に惚れこんだことでしょう。
裏の事情とは裏腹に、事業所の伝説になってしまった先輩なのでした。
コメント
仕事に対する責任感でなかなかお休み出来ない気持ち、分かります。でも、自由にトイレに行ったり出来ないなんて・・ヘルパーさんって大変ですね。私の母もヘルパーさんに来てもらっているのですが、30分位時間が残っているのにさっさと帰る方や、仕事が中途半端なのに『時間になったので帰ります』とそそくさと帰る方がいらっしゃるようで困っていました。ヘルパーさんにも色々な方がいらっしゃるのですね。
なっち〜♪さま
そうですか。。。
やはりヘルパーさんも色々ですね。
自己犠牲までして仕事する事はないと思いますが、30分も早く帰るだなんて…。
頑張っている人と頑張らない人の格差が無くなるといいですね。
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