つんでれ
以前「マザー」の回で登場した、お気に入りのヘルパーさん以外には常に反抗的なおじいちゃん。
クーラーの無い部屋でこの厳しい夏を乗り越え、秋もなんなくこなし、冬到来もどこ吹く風で相変わらず元気にヘルパーにあらがっています。
私も「もう来んでいい!」「お前は何もできない!」と何度追い出されそうになったか。。。
そんなおじいちゃんの家へ行く時はいつも大緊張。
この日もドキドキしながらおじいちゃんの家へ入ると…
……!!!Σ(゚д゚;)
お、お、落ちてる〜!!
なんとおじいちゃんがベッドから転落し畳に横たわっていたのです。
おじいちゃんは足を悪くして最近は24時間ベッドで過ごし自力では動かない生活を送っていた。落ちた後ベッドにも戻れず何時間もその場にいた事が頭をよぎる。
さーっと血の気が引いていくのをこらえ、おじいちゃんのもとへ駆け寄りました。
クニ「おじいちゃん!大丈夫?」
おじ「うう…夜中じゅうここにいたんじゃ…あちこち痛い…うう」
とにかくベッドに上がってもらった方がいいと先輩ヘルパーと二人でおじいちゃんを抱えベッドに横になってもらいました。
外傷もないし頭を打った様子もない。下が畳だったことも幸いしてどうやら無事のようです。
するとおじいちゃん
おじ「あんたらがなあ、もっと早くこんからや。時間は守らんし、ずーっと寒いなかでこごえとったわ。もう上にいってクビにしてもらうからなあ!」
がーん!( ̄ロ ̄lll)
またもや言われのない悪事(時間はもちろん守ってます!)を作り上げられ辞職に追い込まれそうになってる私たち…。
それより何よりこんな思いが私の心をよぎった。
クニ『意外と元気じゃない…?』
はっ!いかんいかん。そんなこと思っちゃ。おじいちゃんはきっと心細い夜を過ごしたんだ。だから私たちに当たり散らすのも仕方ない。受け止めてあげなきゃ。
そう自分に言い聞かせ先輩と二人でオムツ交換や身の回りのお世話をし、ベッド柵を落ちにくいようにセットして事務所へ帰りました。
翌日。
今度はおじいちゃんお気に入りのA先輩と私の二人で訪問しました。
昨日転落していたから身体は大丈夫かな、と話しながら家に入ると…
!!!!(=Д=;)
ま、また落ちてる〜!!二日続けて…!!
急いで駆け寄る。…ところまでは昨日と同じだったのですが。
おじ「待ってたんだよ〜。うう〜ん、ふう〜ん」
反抗は一切なくA先輩に甘えるようにすがるおじいちゃん。抱えてベッドに戻る時なんてA先輩にぴったり顔をくっつけてなんだか幸せそうな雰囲気すら漂っている…。
ベッドに戻ってからもA先輩にくっつけたのが嬉しかったのか目はきらきら輝き言葉も饒舌に延々と喋り続けテンションMAX!
クニ『先輩に心配してもらいたかっただけじゃあ…?』
いやいやいや!そんな事考えちゃだめだって!おじいちゃんは苦しかったんだきっと。また一晩中寒さに震えてたんだきっと…。
その帰り道。A先輩がいいました。
A先輩「おじいちゃんさ、自分ですすんでベッドから落ちてない?」
先輩!やっぱり先輩もそう思ってましたか〜!?
A先輩「落ちたっていうより自分でいざって下に降りたんじゃないだろうか。上手に着地してるしケガもしてないし…毛布とか引き寄せてしっかりかぶってたもんね〜」
そう、そうなんですよっ!
おじいちゃん自分で上手に下に降りているんです、多分。
そしてA先輩が来るのを待って、心配してもらい甘えたかったんじゃないかなあ。
ということは。昨日私たちが怒られたのは“あんたらに心配してもらうためにわざわざ下で待ってたんじゃない!”というおじいちゃんのいら立ちではないだろうか。
いやあ、おじいちゃんそんなにしてまでA先輩とふれ合いたかったのかと思うとなんだかいじらしく、可愛く思えてしまいました。
でもね…
私たちにも甘えていいんだよー!!()°ロ°)」
まあ、そんな日はこないですかねえ。
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