無駄なんかじゃない
前に書いた「優しすぎて…困るの」の回のとても優しくて、いつも名言を授けてくれるおばあちゃん。
しかし今日は…元気がありませんでした。
ガラっと玄関を開けると、ベッドに座っておばあちゃんがしくしく泣いているのです。
クニ「おばあちゃん!どうしたの?」
おば「なんだか涙が出てきちゃって…」
いつも明るいおばあちゃんが一体どうして…。( ̄□ ̄;)
するとおばあちゃんは静かに息子さんの話を始めました。
昔息子さんが結婚した頃、お嫁さんとそのお子さんとおばあちゃん、おじいちゃんの5人で同居していたそうです。
おばあちゃんはなんと!
育児で寝不足のお嫁さんを気遣って朝から赤ちゃんの世話に朝食作り、その他の家事を全てこなし自分の家でやっていた工場の仕事もしていたそうです。
そしてお嫁さんが起きてくるのはお昼12時…。
その他の家事もぜーんぶおばあちゃんがやっていたそう。
クニ「え〜!!それやってあげ過ぎだよぉ」
おば「うん、工場のみんなにお嫁さんにナメられてるよーって言われてたんだけどね、私は気持ちは伝わってると思って信じてたんだよねぇ」
そして遂に、お嫁さんはワガママがエスカレートし、子供を連れて家を出て行ってしまった。
その数年後に息子さんもお父さんと大喧嘩して今は絶縁状態。消息不明だという。
おば「お父さんもね、もうちょっと言い方を考えてくれればね…」
肩を落とすおばあちゃんにかける言葉もない私…。
その時ケアマネージャーさんから電話がかかりました。
ケア「おばあちゃんの家の鍵がかかりづらいみたいで。大丈夫か聞いてもらえますか?」
えっ!鍵が?おじいちゃんは施設に入っていておばあちゃんは独り暮らしなので心配です。
クニ「おばあちゃん、鍵がかからないようだけど大丈夫なの?」
おば「うん、いいんだよ、たまにかからなくたって。だって夜中にもし息子が帰って家に入れなかったら…かわいそうだから」
おばあちゃん…(:_;)。
おばあちゃんはまだ息子さんの帰りを待っていてずっと心配しているんだ。
おば「でもさ、私のやることっていつも的外れなのよね。無駄なことばーっかりやってるの!あははは。」
そう言っておばあちゃんはいつもと同じ笑顔で笑い飛ばしてくれました。
でもね、おばあちゃん。
いつだか私が訪問したのにおばあちゃんが留守で困っている時。
近所の人がやってきておばあちゃんの行方を一緒に探してくれた事があった。
「おばあちゃんには良くしてもらってるからね。ヘルパーさんも困ったことがあったらいつでも言ってね。おばあちゃんの居場所や連絡先は全部把握してるから!」
おばあちゃんの優しい気持ちは近所の人にちゃんと伝わっていておばあちゃんをしっかり守ってくれてるんだよ。
決して無駄なんかじゃない。
それからしばらくしておばあちゃんが帰ってきた。
おばあちゃんは近所のみなさんの温かいまなざしの中に帰っていった。
おばあちゃんだけのセーフティネット。
今の時代にない大切なものをおばあちゃんはちゃんと持っている。
コメント
いい話ですね。
胸が熱くなりました。
息子さん、帰ってきてくれないかなー。
とよみ様
本当に、息子さん帰ってきて欲しいですね。
我が子と別れるってどんなに辛いことか…と思うんですけど意外とそういう経験されている方が多くて。
みなさん色々あるけど明るく過ごしていてすごいなあと思います。
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