紳士の秘密
今日は、色白で華奢で紳士なおじいちゃんのお宅へ訪問しました。
このおじいちゃんはヘルパーにも優しく部屋も綺麗に整頓されておりなーんの問題もない方。
…と思っていたのです。今日までは!!
しかし事件は起きたのです。
クニ「おじいちゃん、こんにちはー」
おじ「ううん…」
あれ?
いつも穏やかに挨拶してくれるおじいちゃんがベッドに横になり壁側に顔をそむけたまま小さな声でこたえました。
クニ「おじいちゃん、あのう…」
ハッ!!w(゚ロ゚;
そっとおじいちゃんの顔をのぞき込むと普段色白の端正な顔が土色っぽくなっていて表情も何もないのです。
クニ「大丈夫ですか!?どこか具合悪いんですか?」
おじ「うう…あろ…だいひょうぶ…だいひょうぶだから……」
おじいちゃんろれつが回ってません。
まさか…脳梗塞!?
サーッと血の気が引きました。
おじ「いひの…このままれいひんだから…あのぉ…そうじひてくらさい…」
おじいちゃん…!普段通りの丁寧な口調で伝えてくれるのに。まるで別人!
でもこんな非常事態でも心配をかけないよう気丈に優しく振る舞おうとしてくれてる紳士魂。(:_;)
これはやっぱりただごとじゃないと思いました。
でもここで大騒ぎするとおじいちゃんがショックを受けるかもしれない。
どうしよう…とりあえず事務所に連絡してみよう!
クニ「おじいちゃん、ゴミ出し行ってきますね」
さり気なく外へ行くフリをして持っていた携帯で急いで事務所に連絡をしました。
クニ「先輩!おじいちゃんの様子がおかしくて。ろれつが回ってないし顔色は悪いし…脳梗塞をおこしてるんでしょうか?救急車を呼んでもいいですか?」
私の必死の訴えに先輩は冷静に答えました。
先輩「ああ〜。それね。二日酔いだから大丈夫。」
へ…?(*゚▽゚)
ふ、二日酔い!?
だってあのジェントルマンなおじいちゃんが…。お酒の臭いなんて感じたことない、からまれた事も乱暴に扱われたこともないあのおじいちゃんが?
何より部屋でお酒を見たこと一回もないのに!!
先輩「部屋にペットボトルがあるでしょ。その中身全部焼酎だからね」
そういえば…。おじいちゃんの家には2リットルのペットボトルがたくさん置いてあり、その中身は全部水だって言ってたけど…確かに不自然だった。
まさかあれ全部お酒だったの!?/( ̄ロ ̄;)\
先輩「ああ見えておじいちゃんお酒大好きだから。ドクターからも気をつけるように言われてるからカモフラージュにペットボトルに入れ替えて置いてあるのよ。」
あのおじいちゃんがお酒を飲みたいがためにそんな手の込んだ事を…!!
先輩「おじいちゃん一人暮らしだけどケアマネさんや友人がしょっちゅうたずねて来て二日酔いじゃない体調不良の時はきちんと病院に行くようにしてるからね。あまりに様子がおかしい時だけ報告してくれれば大丈夫だよ。」
そうだったのか…。
部屋に帰ると先週はたっぷり入っていたペットボトルがほとんどカラになっているではありませんか。
おじいちゃん…二日酔いをかくそうとして気丈に振る舞っていたのか。
その後おじいちゃんはずっと眠っていて帰り際あいさつをした時にはちょっとすっきりした顔で言ってくれました。
おじ「どうもご苦労さま」
さ、さわやか〜!!(´∀`*)
このおじいちゃんがまさか、臭いも気配すらも感じさせないニュータイプ酒飲みだったとは!
お酒もちろんはひかえて欲しいけど完璧なジェントルマンより少し親近感が持てた私なのでした。
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