ほんのひととき
新しい利用者さんが我が事務所を利用してくれることになりました。
一人暮らしのおじいちゃん。退院して自宅に戻ったばかり。
耳が聞こえづらいので筆談で会話をすることになっています。
初日、うまく会話できるか心配しながらおじいちゃん宅をたずねると
おじ「遅いよ〜!!」
おじいちゃんの大きい声が!!(゚ロ゚屮)屮
クニ「ご、ごめんなさい……あ!筆談だった」
あわててボードにお詫びを書き込む。
…でもあれ?時間は間違ってないはずだけど…
おじ「待ってたんだよ〜。もっと早くきて欲しかったんだよ〜。」
うっ。かわいい…。
そうか、寂しかったのかあ。
おじいちゃん実はとっても寂しがり屋で食事よりも掃除よりも話し相手が欲しいと調書に書いてありました。
そして…
筆談の心配をよそにおじいちゃんしゃべるしゃべる!!
もう返事はいらないから目を見て聞いてくれるだけで満足な様子。
おじ「ああ〜病院にいた時はあんなに体調が良かったのに…家に帰った途端あっちも痛いこっちも痛い…。もうずっとこのままなんかなあ。病院は良かったなあ」
病院は…w( ̄▽ ̄;)w良かった…!!
初めて聞いた台詞です。
普通は家が一番!入院なんてできればしたくない。デイサービスですら自宅に帰れる夕方が待ち遠しい人が多いのに。
おじいちゃん、よほど一人が嫌なんだねえ。病院は常に誰かしらいるもんねえ。
さて、おじいちゃんのマシンガントークをずっと聞いていたいけれど私の仕事は朝食作りに掃除に薬のセット。一時間で済ませないといけません。
クニ「おじいちゃん、朝ご飯を作りますからね」(ボードに書き込みながら)
おじ「え〜…。うん、わかった…。」
話ができなくてがっかりするおじいちゃん。
なんていじらしいんだぁ〜!!(●´Д`●)
しかもおじいちゃんの家はちょっと山の中にあり台所に入るとそこは昭和の世界。古いけど大切に使われてきた台所。
大きい窓から明るい陽が入って外には緑がいっぱい。何とも良い気持ちで朝食を作ることができました。
おじいちゃんに朝食を出すと…
おじ「ありがとう、ありがとう。」
と言って食べてくれました。
食べ終わると同時にまたすごい勢いで話が始まりましたが。。。
おじ「もう帰るの…」
と悲しい顔をするおじいちゃんに挨拶をし
クニ「また来ますね!」
とボードに大きく書き残して帰りました。
それから数日後の今日、またおじいちゃんの家へ訪問することになりました。
おじいちゃんが退院して一週間。少しは慣れてきたかなあ。
そんな事を思って事務所へ行くと
先輩「キャンセルになったよー」
クニ「あら〜。おじいちゃん今日は都合が悪いんですか」
先輩「いや、今日じゃなくて…サービス自体キャンセル。病院に帰るんだって」
ええ〜!!
なんとおじいちゃん寂しさに耐えかねて病院へ戻ることになったのです。
一週間もたなかったのか…。
でもおじいちゃんがこれで幸せに過ごせるならいいんだね。
もう寂しくないもんね。
たった一日のほんの一時間一緒に過ごしただけのおじいちゃん。
でもあのかわいらしい話し方と昔ながらの台所で作った朝ご飯。なんだかとても居心地が良かった。
たまには家にも帰ってきて、また私たちを呼んでくださいね。
コメント
いじらしいおじいちゃん、とても可愛いですね(^v^)一人暮らしだと、寂しいですものね。皆がいる病院が良いのか~。私の祖父母は『入院すると環境が変わるし、周りの人に気を遣う。』と言って嫌がるのですが。おじいちゃん、退院したらまた呼んでもらいたいですね(^o^)
なっち〜♪さま
本当に。またお会いしたいです。
私でも入院は嫌がりますが…。すごいですよね。
自宅にいる方が近所に気を遣うそうです。
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