3つの鏡
「鏡」は教訓になる
わが姿を映し
わが心を正す
「鏡」はプロを磨く
たち向こう人の心は鏡なり
おのが姿を移してやみん
「鏡」は生き方だ
至人の心を用うるは、鏡の如し
◎はじめの「鏡」の教えは、私が長崎純心大学以外で唯一、集中講義に出かける長崎リハビリテーション学院の玄関前の鏡に掲げてあった言葉である。その「鏡訓」のように受講生の躾はきちんとできている。理学療法士や作業療法士のように「強者」でない人を相手にする仕事では躾が欠かせない。その校風に惹かれて私の学問を伝授している。
◎2つめの「鏡」に関する和歌は私の座右の銘である。黒住教の教祖(黒住宗忠師)は、江戸時代に身分を問わず人々に「五・七・五・七・七」という三十一文字の和歌で深遠な教えを分かりやすく深く諭されていた。その教えのなかのひとつであり、私の心得である。
福祉・介護・医療・看護・リハビリなどを含めて「強者」を相手にしない仕事では特に「相手の心」が自分のプロのレベルを映す鏡となる。私が不思議に思うのは「映す」でなく「移す」とあることだ。たんなる反映でなく「移入」なのだろうか。教えは簡潔にして深い。日本語だからこそ味わえる幸せといえよう。
◎3つめの「鏡」は、座右の書である『座右版 中国古典名言事典』(諸橋轍次著、講談社)の『荘子』にある「至人の心を用うるは、鏡の如し。将(おく)らず逆(むか)えず、応じて而(しか)して蔵(おさ)めず。」(354〜355頁)からである。その意味は、つぎのようである。
「鏡は前に現れたものでも、それが過ぎ去ってしまえば、もはやそのものをたくわえて映すようなことはしないし、まだ来もしないものを、まえもって鏡に映そうともしない。自分の前に立ったものだけを、そのまま映す。そのような態度で世の中に応ずるのがいちばん正しい方法である。」
「過去を追わず、将来のとり越し苦労もせず、その時期に応じて適当の措置をとり、心にとどめない。」。
私は、やはり「持ち越し苦労」(過去を振り返り悔やむ)も「取り越し苦労」(未来への不安・心配)にも苛(さいな)まれる。それを矯正したいので、女性のように「鏡」を持参しようかと考えたことがある。
長崎純心大学の学生、とくにHMゼミの女子学生たちが「鏡」の三教訓を実行すれば、表面を化粧するだけでなく「純心」(聖母マリアの心)のように「心のお化粧」ができるだろう。
◎大変化となった今年(平成20年、2008年)のいま、しばし、3つの鏡をもとに人生も仕事も自分も内省してみることにしたい。
コメント
ほかにわ式展開術の「共汗共育」は、HM式では先日の観光バリア・フリーは「共観興育」でしたが、本日の教えは「共汗鏡育」になりますね。環境問題も日比野先生はご造詣が深くあられますので、「共環境育」もなかなか捨てがたいキーワードになりますね。鏡は空手道でも「心」と「技」を磨く重要な道具であります。それは客観的に「体(己)」を映すからです。
鏡の価値は、その存在したものを客観的に映す。プラス面もマイナス面も修飾せずにそのまま映される。人類が鏡を発明したのは、人類自身のいい所と悪い所を認識してほしいためであろう。
歴史も鏡のように、人類社会を映すが、見たい人は現実現場で見られない。それに対して、現実社会は、現実の人々の姿が映される。われわれは社会に向かって笑えば、笑い声がもらえるが、泣けば、泣き声を報う。
「鏡」の三教訓、数回にわたって反芻してみました。言葉の奥の深さや先生の諭しの的確さになるほどと感服しました。私も日々、この教訓を心に留めて生きていきたいです。
今回も日本語の素晴らしさを気付かせていただきありがとうございます。
「子は親の鏡」といいます。
自分自身を内省してみて、
自己中心的で親として「人としての鑑」にはなれていないと反省します。
ただ、1つのことをやり遂げる姿だけは子にみせることができるかもしれません。
子に誇れるよう信じる1本の道をすすんでいきたいと思っています。
鏡でパッと思い出した言葉は、この時期にピッタリな「鏡餅」という言葉。なぜ鏡餅というのだろうと思い調べてみたところ、昔の鏡が丸だったことが由来でつけられたのだということ。1年間の最初を、自分の姿を映して始めるということなのかな、と感じました。
HMゼミに所属している今、鏡の3教訓を胸に表面の化粧でなく心の化粧を磨いていきたいと感じました☆☆
私は鏡が好きだ。
鏡に映っている自分はもう一人の自分であり
客観的に見ることが出来る。
美しい心、憎い心、不安な心、満たされた心。
すべての心を映してくれる。
だから鏡を見て矯正することが出来る。
時には鏡を見るのが怖い時もある。
でも、私は鏡が好きだ。
先生のお言葉で、私たちの学校の鏡のあるすべての場所に、鏡訓が書かれるようになりました。
授業で何度も先生がおっしゃっていたので、われわれ2年生は、先生のおかげだとすぐにわかりました。
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