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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

最近美しいと想ったこと

 寒い日ですねという挨拶を毎日かわしている今日この頃です。皆様、お元気でしょうか。
 昨年のクリスマス頃に、日野原重明先生の主催される法人からシクラメンをいただきました。わが家の居間に置かせていただいているのですが、もう2月末近くになりますが、ですが、ピンク色の20数個ほどの花が満開です。花弁の端は純白で中心になるとピンクの濃さが増して実に美しい。南向きの広い窓なのでほどよく日差しがあたり、夜間に冷え込んでも何とか適切な温度環境が保たれているのでしょう。聖書に、「栄華を極めた時のソロモンでさえ、この花の一つにも着飾っていなかった」(マタイによる福音書6章29節)とあるように人工の美にはかなわないと思います。

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 去る日曜日、教会に行く途中、有楽町の数寄屋橋交差点で東京マラソンの一群に出遭いました。青い冬空にヘリコプターが舞い、パトカーの先導でドーッとかなりのスピードでやってきた、ランニングにショートパンツの凛々しい姿の一団。その一人ひとりが実にかっこよくて、晴海通りを一瞬に走り去りました。ひたすらに前を向いて走る人の姿はなかなかのものでした。シクラメンの静的な美しさ、ひたむきに走る人の動的な美しさに感動しました。
 しかし、私にとって認知症の人を支える姿の美しさは、常に心に残ります。私の勤める浴風会にもグループホームがありますが、そこで認知症の人といっしょに台所で食事の支度をしていたり、共に過ごしながら暮らしを支えるスタッフをみると、感動します。
 また、東京センターで育った介護指導員の人に講演会で会うことがあります。その人たちが実に幸せいっぱいの笑顔で私との再会を喜んでくれる時、ケアをする人の美しさを感じます。
 ある日のこと、私が講演会で家族の一人Xさんからご質問をうけました。困っている具体的な内容に不十分ながらお答えをした後、会場の外で再びXさんにお目にかかりました。そして、私に一言「さて、それでは私、またあの聖人のようになった夫のところに帰ります」とにっこり笑われました。実に美しい笑顔でした。認知症の人をケアすることは、言葉では表現できない困難がいっぱいあると思います。しかし、聖人のような人とはその人の本当の姿でしょう。そうして何よりも介護する奥様の愛を感じました。人が愛する姿こそ、心に残る美しさなのでしょう。


コメント


聖路加国際病院理事長・名誉院長で2005年文化勲章を始めとする各功労賞を受賞された日野原重明先生も、とっても偉大な先生ですね。
役職も調べた限りでは38個もあり、2~3年先のスケジュールも決定している程の過密な日々をお過ごしになっておられると知りました。今年99歳になられる方だとは、とてもとても思えません!
96歳まで睡眠時間は4時間半、週に1度は徹夜の日々だったとか…やはり偉人は影で人一倍の努力をしておられるのですね。
日野先生の『生きかた上手』が出版された頃に、先生もクリスチャンで、お父様は牧師様だと知り、とっても感激しました!私も保守的な生き方をしたいのですが「あるがまま行く」の精神で歩いていきたいと思います。
走ったら、躓きそうな石コロも視野に入らず転んでしまいそうですから…スキップ位にします。
日野先生の事も既知の方は多いかと思いましたが、少しだけ書かせて下さい。
先生の発言で共感できた記事を引用します。
『アメリカの大学教授選考では、最近は年齢不問です。つまり、業績、仕事をやる人は、年齢に関係なく教授を続けられるようになった。それに引き換え日本では、大学に定年制が引かれ、アメリカとは逆ですよ。』年功序列が未だに残っている風潮を打破する革新的な御発言だと思います。
そして発言するだけではなく、医療行為を医師のみに行わせると主張する日本医師会の立場に対し、新米の医師よりも治療に精通した看護士もいるとして、医療行為を広く医療従事者に行わせることを認めるスタンスを取られました。
今は胃瘻もケアワーカーが管理するように検討されているのですから、私達も日々医療知識も勉強をして、付いていく責務があります。

結核を患い闘病生活を送った経験がある日野先生の趣味の一つはピアノだそうで、私も幼稚園~高校1年生までピアノを習っていましたのでピアノは大好きです。(ピアノの前に座っている時だけは大人しかったように記憶しております。)
日本初のハイジャック事件に巻き込まれた経験もお持ちだと知り、やはり神様は御守り下さり存在するのだと認識する事が出来ました。

私も6mも吹っ飛ばされるような交通事故(2回の事故に巻き込まれました)の被害者になり、幾多の困難を乗り越えてきました。
確かに、神様はいらっしゃいますね。
どんなお顔をされているんだろう…?と想像したでけで温かい気持ちになります。
感謝の日々を過ごしております。

東京大空襲以降の日野先生の御苦労や御尽力、勇気に大変尊敬の念を抱きました。
その一つが、1995年の地下鉄サリン事件です。事件直後、当日の全ての外来受診を休診し被害者を無制限に受け入れられました。
信念を貫く強い意思や勇気は、時折、萎えてしまいそうになりますが、世界に日野先生という方や長谷川先生、そして、無名な凡人でも「私」という存在が一人しかいない素晴らしさを忘れてはならないと実感致しました。

日野先生や長谷川先生の爪の垢を煎じて飲ませて頂きます。

シクラメンの静的な美しさをもちたいと願いつつ、向日葵のような明るさと天を仰ぐ伸び伸びとした大らかさ、純粋さも持ち続けたいと思います。
飾る事が苦手なので、このままで生きます!


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年02月11日 11:24

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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