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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ 2008年02月

老いること

 私が認知症医療にかかわり始めたのは1968年頃です。人生の折り返し地点ともいえる39歳の時でした。これまで認知症だけでなく、うつ病、幻覚妄想病、せん妄状態、神経症、人格障害などをもつ多くの方々に接し、さまざまなことを学びました。そして、次第に自分も老いの波を登りつつあります。
 若いときには、老いること、年をとることは、頭ではわかっていましたが、まだまだ先の話で、他人事のように思っていました。しかし、70歳をこえた頃に、体力や気力も若い時のようにはいかないことを自覚し始めました。ことに、“老い”について書かれている書籍、印刷された文章がおびただしいことに驚きました。『老い方、六輔の。』『私の型破り戒老学』『老いを生きる』『老い』『健やかに老いる』『老年期』『さわやかに老いる知恵』『あなたの「老い」を誰がみる』など数十冊です。これらはいずれも、なるほどと思うことが書かれていて、多くを学びました。しかし、“老い”を体験することにはなりません。
 現在、私は老年後期といわれる年齢期に入り始めましたが、現在の時点での“老い”についての私の考えを述べてみます。



最近美しいと想ったこと

 寒い日ですねという挨拶を毎日かわしている今日この頃です。皆様、お元気でしょうか。
 昨年のクリスマス頃に、日野原重明先生の主催される法人からシクラメンをいただきました。わが家の居間に置かせていただいているのですが、もう2月末近くになりますが、ですが、ピンク色の20数個ほどの花が満開です。花弁の端は純白で中心になるとピンクの濃さが増して実に美しい。南向きの広い窓なのでほどよく日差しがあたり、夜間に冷え込んでも何とか適切な温度環境が保たれているのでしょう。聖書に、「栄華を極めた時のソロモンでさえ、この花の一つにも着飾っていなかった」(マタイによる福音書6章29節)とあるように人工の美にはかなわないと思います。



安心して座れる椅子と不安いっぱいで座る椅子

 暮らしの中で必ず「座る」という行動があると思いますが、今日は椅子についてお話しましょう。
 私にとって安心して座れる椅子は、床屋さんの椅子です。この1~2週間、厳しい寒気に日本列島はすっぽりとくるまれていました。寒さで風邪でもひいたら困ると思って、私の好きな床屋さんにもご無沙汰していました。しかし3週間も超えると、やや長くなりすぎた頭髪が気になって、早朝7時半から始業している行きつけの床屋さんに行きました。



みんなで認知症の人を支えよう!~「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーンより

  「お寒いですね」という挨拶が繰り返されている今日この頃ですが、毎日の介護には本当にご苦労が多いことと思います。できることなら一人で抱えこまないで、支えの手段を求めてください。

 現在、私たちが進めている「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーンは、市民の方が認知症の人と家族を日々の暮らしの中で支え合う市民運動です。是非、皆さんの周囲から支えようという動きがおこっていることを知っていただきたいと思います。
 今年度の発表会については先週お知らせしましたが、キャンペーン賞に選ばれた活動事例の一部をご紹介しましょう。



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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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