ページの先頭です。

ホーム >> 家庭介護サポーターズ >> 長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ
長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

もうひとつの出遭い-言葉をこえるふれ合い

 1956年8月末、私は機会があってアメリカに2か月留学することになりました。27歳でした。
 留学先の病院は、聖エリザベス病院という7500床のマンモス病院で、ワシントン市のコングレスハイツという丘陵にあり、ポトマック川を見下ろす場所にありました。私はそこで精神科のレジデント(研修医)になったのです。
 この大病院のキャンパスには、15ぐらいの病院施設が散在し、私は500床の施設を担当することになりました。毎日それぞれ50床の10病棟を回診します。
 当時の院長、オーバー・ホルザー教授からは「患者さんについては、患者さんから学びなさい」と教えられました。精神科医は患者さんとの面接が一番大切です。心の苦しみをもつ方を診断し、適切な治療をすすめてゆくことになるからです。
 しかし、私には「英語が不自由」というハンデイがありました。言葉の壁と闘いながらの毎日でした。1日の診療業務がおわって自室にもどると、もう疲れきってベッドに倒れこむ状態でした。

続きを読む

 さらに苦痛だったのは、本来ストレス解消になるはずの友人や同僚との雑談でした。ここでも言葉の壁に苦しみました。また、医師の宿舎は慢性期病棟(急性期治療を終え、中長期の療養を要する方のための病床)の3階にあって、日本語とは隔絶された英語だけの生活だったのです。今、思い返しても言葉の不自由は本当に私を苦しめました。
 耐えかねた私はある日、指導医のホフマン先生に相談しました。言葉が不自由なこと、精神科医として続けてゆく自信がなくなったことを訴えました。ホフマン先生は、よく私の悩みをきいてくれました。そして和やかな表情で静かに言いました。
 「君はよくやってるよ。評判もいい。確かに言葉も大切だが、精神科医にとってもう1つ大切なのは、非言語的な対応です。接していく態度とか、やさしい気分で見守るとか、言葉以外のやりとりがあるのです。その点で、君はすぐれている。もう少し頑張ってみて!」
 先生の言葉は、当時の私にとって大きな励ましになりました。
 認知症の人もその介護をされる方も、言葉のやりとりやうまくいかないことに苦労していると思います。そういう時は、認知症の人へ穏やかな気持ちでゆっくり話しかけたり、やさしさのあふれる対応をすると、私たちが思っている以上によい効果があると思います。言葉をこえるふれ合いは、認知症の人を介護してゆくうえでひとつの大切なことではないでしょうか。


コメント


1956年…私が誕生する12年前の事です。
何も分りませんので、ちょっと、どの様な時代だったのか調べてみました。オーストラリアで開催された夏季オリンピック「メルボルンオリンピック」各メダル獲得者
★金メダル4個;(競泳男子200m平泳ぎ)古川勝
        (体操鉄棒)小野喬
        (レスリング)池田三男
               笹原正三
★銀メダル;10個
★銅メダル;5個
誰も知りませんが、私は高校進学前までフィギュアスケートを習っていたので、2006年開催のトリノオリンピックで、荒川静香が金メダルを獲得した事が印象的でエキサイトしながらTVに釘付けになっておりました。

流行語)「ランデブー」→「デート」へ
     変更してくれて良かったです!
    「ランデブー」って怪しい仲…
    密会の様なイメージを受けたからです。
映画)「ビルマの竪琴」
   キャスト;三國連太郎(井上隊長)
        浜村純(伊東軍曹)
        安井昌二 (水島上等兵)
        内藤武敏(小林一等兵)
        西村晃(馬場一等兵)
私は、確かお父様も俳優をなさっていた中井貴一主役の映画を見ました。三国連太郎は山口百恵さんの赤いドラマシリーズで拝見した事があり、個性的な人のイメージが残っておりました。

★エズラ・パウンド(1885~1972)モダニズム運動主導者 感慨深い事実を発見しました。
 。詩人・音楽家・音楽家・批評家。日本文学・  能を研究。
『世界を第二次大戦の恐怖に陥れたのはユダヤ人である』と批判した為に反逆罪により告発を受けアメリカに送還され精神障害者を理由にの聖エリザベス病院で1946~1958年までの12年間を過ごしたとか…ユダヤ人の精神科医が、ユダヤ人に批判的な非ユダヤ人に向かって裁判もせずに終身刑を言い渡したと記されております。
どちらが悪いのかは分かりませんが、自由まで奪った人間のエゴ(戦争)が齎した悲しい時代ですね…
長谷川先生が在籍されていた頃もエズラ・パウンドは収容されていたのでしょうか?精神科に勤務していた経験もありますので偏見は一切ありませんが、精神病でもない人を精神病扱いしていた残酷さは腑に落ちないです。自由を奪われれば、必然的におかしくなってしまう気がします。詳しい晩年は分りませんが。

ホフマン先生も人を見る目がおありなのだと思いました。私の経験上、言葉の壁を超えた心と心の対話(非言語的コミニュケーション)は、百の数よりもストレートに伝わる様な気がします。相互理解を深めようという努力は大事ですね。私は、認知症の方にオーバーアクションをしますので強いインパクトを持って頂ける様です。相手を思いやる柔軟な姿勢は絶対不可欠ですね。


投稿者: 玉本 あゆみ | 2010年01月23日 01:52

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
hasegawa-book.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books