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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

「私の体験した出遭い」

 ひと雨ごとに秋が深まり、衣を重ねる季節になりました。来し方をふと顧みることのある時でもあります。
 生きてゆくことは、しばしば旅にたとえられます。その中で私たちは運命的ともいえる人とめぐりあいます。私自身、過去を振り返ってみても実に多くの人々との出遭いがありました。私にとっても一つの岐路となった出遭いについて述べさせてください。

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 1951年、大学に入学して半年位たった頃、同級生のT君が自宅に私を訪ねてきました。“君は不真面目だよ。人生で大切なこと、何のために生きているのか考えていないだろう”と言いました。平凡な学生生活を送っていた私は、不真面目と言われてショックでした。終戦の爪跡がまだ残っていて、生活していくこと自体に貧困と荒廃があった時代でした。友人の忠告を契機に、生きることの意味を私なりに考え、哲学書などを読みあさってみましたが、自分の心にある虚しさはどうすることもできません。自分の存在がやがては消滅することにも強い不安をもちました。何度もためらった挙句に、通学途中にある小さなキリスト教会をたずねました。
 寒い日でした。牧師宅のこたつに招きいれられました。迎えて頂いたM牧師の温顔、そして最初の言葉は「よく来ましたね」でした。来訪の理由も名前すらも聞かれませんでした。そして、日曜の礼拝に集まってくる人々の平安な明るさ、あたたかい微笑み、そして祈りのときの清々しい横顔をみて、驚きました。その時から一つひとつの多くの出遭いに導かれるようにして現在の自分があります。そして自分の確かな物語として、私の支えとなっています。


コメント


私の運命的な出会いは24歳の時だったのかもしれません。しかし、その出会いがきっかけとなり、今迄の貴重な出会いもエバの様なタイプの人に奪われ続けていた事もありました。奪われても、キリスト様の存在や復活が矛盾のない事実だった様に、真実一路でひたむきに前を歩いてきたお陰で神様の御導きにも巡り会う事が出来ました。エバの様な人達の邪推や妨害による状況下でも、神様は多くの「認知症」の方々とも巡り合わせて下さいました。そして、多くの笑顔が私への最大の御褒美でもあり、認知症の方々がきっかけとなって多くの喜びも頂戴しました。その積み重ねが今の私を育てて下さった事に感謝しております。
エバの様な方達が存在していた為に「愛情」「優しさ」という賜物の価値を信じる事が出来なくなった事もございました。それも救ってくれたのが、認知症の方々や御家族、この仕事を通して頂いた、大切な出会いでもあり、私の大事な母・兄・父、見えない力でした。私が元気がなかった時、人前では見せまいと強がっていた時も、何かを察知されたのか、認知症の方が作り方を見よう見真似で一生懸命に「折り鶴」を作りプレゼントして下さいました。元気のない(折り目にピーンと張りのない鶴)鶴でしたが、私にはお金では買えない宝物で、今でも大切に保管しております。認知症の方を介護される、御家族の方々にも細かい部分で助けて頂きました。そういう御心使いが寒い冬でも心を温かくしてくれます。エバの様な存在も、後悔し改心する日が訪れる事でしょう。神様はいつも傍で見守り間違った方角へ進もうとすれば、必ず進むべき方向へと光を照らして下さっている事、心強さをも実感しています。私は油絵が好きなのですが、いつかルーヴル美術館へ行たいです。「聖母子」をモチーフにした作品が大好きなのですが、ティツアーノ・ヴェチェッリオ作「聖母子と聖ステパノ、聖ヒエロニムス、聖マウリティウス」、アンドレア・デッラ・ロッピアの工房作「幼子イエスを礼拝する聖母」、リジェ・リシエ作「幼子イエス」等の彫刻作品を是非とも真近で見てみたいです。
今日は、午前中に教会の聖書の学び会に参加し、その後、大府センター主催の「認知症ケア現場に生かすパーソン・センタード・ケア」特別講演会へ行って参ります!


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月22日 01:27

キリスト教との出遭いは、とても大きかったです。新約聖書のローマ人への手紙1~4を読みました。
「自愛と忍耐と寛容を軽んじてはいけない。」
今迄、自分を慰めるその場凌ぎの言葉を求めがちだったのですが、聖書には偽善もなく平等に与えて下さった教えが何千年間分と詰まっており豊富にあります。世の中には「すみませんでした。」そんな一言では済まされない事、お金では済まされない事も、たくさんあります。
それでも、裁く事は自分自信を罪に定めてしまう事になる…。悔しくて、悔しくて、どうしても許せない時、自分の中に悪魔が住みつきそうになってしまいそうな時がありました。しかし、憎み続ける事も苦しい事です。私が知り合った副牧師さんは、とてもタイムリーに適切な指導をして下さいます。
読んでいると、ポロポロ涙が溢れ出してきて、まるで十字架に貼り付けられそうな息苦しい気持にもなりましたが、同時に心の重荷が取れ楽になれました。とても苦しかったので、少しだけ疲れちゃいましたが、悪魔に勝ったような気がします。この気持ちが揺らぐ事無く維持できるように、優しくて厳しい聖書も学び続けます。
自分の経験を振り返ると、認知症の人のBPSDは罪ではありません。心から愛しいと思えます。

牧師さんとは、マンツーマンで御話しをした事はありません。
私の場合はコタツではありませんが、お客さんでもない私に温かいお茶やコーヒーを出してリラックスした雰囲気の中で、ご教授頂ける副牧師ご夫妻との出遭いも、きっと神様からの贈り物なのかもしれません。機会があれば、先生からも、聖書の御話しをお聞きしたいです。
宜しくお願いします。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年02月16日 17:16

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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