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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

認知症でもだいじょうぶな町づくり

 私が板橋区に住み始めて約40年になります。当時、幼稚園に通い始めた5歳の長女と3歳の次女の4人家族でした。お隣りにも同じ年齢のお子さんがいました。ところが現在は、老夫婦の世帯がほとんどです。要するに、向こう3軒両隣りは大部分が高齢者になりました。そして天命を全うされるご夫婦もいらっしゃいました。
 日本における認知症の有病率調査をみると、65-69歳群では認知症の方は1%にすぎませんが、5年毎に年齢を重ねると有病率は激増して、85歳以上になると実に25%、4人に1人になるといわれています。

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 さて、かの阪神・淡路大震災の時、最近では新潟県中越沖地震のような緊急事態がおきた時、救急車やレスキュー隊が来る前に、家屋の下敷きになった人を助けたのは、隣近所の人たちであったと聞いています。それと状況は違いますが、やはり認知症になっても安心して暮らしてゆくためには、隣近所の人たちの一寸した支えがどうしても必要になります。
 たとえば、Aさんは認知症の母親を介護して4年になりますが、母親が徘徊して家に帰れなくなることが一番の悩みでした。そこで、近所の人たちに「母親をみかけたら知らせてください」と頼んだところ、近所の人たちからの連絡で何度も助けられたそうです。この経験がきっかけになって、認知症の人を支え合う自主グループをつくりました。
 また、認知症の人と毎日暮らしつづける家族にとって、「何かお手伝いすることありますか? よかったら午後でしたら3~4時間くらい一緒にみていてあげますから、気晴らしにショッピングでも行ってらっしゃい」などの声かけをしていただけたら、家族にとってはどんなに嬉しいことかと思います。そういう取り組みをはじめたグループもあります。
 これらは草の根的な小グループの先駆的な市民活動ですが、こうした活動から認知症の人を支える町づくりへ発展したケースがたくさんあります。認知症介護研究・研修東京センターでは、4年前から「認知症でもだいじょうぶ」な町づくりのモデルになるような取り組みを全国各地から募集し、表彰してきました。本年も町づくりキャンペーンの応募が始まりました。応募方法等の詳細については下記に問合せてください。ぜひ、あなたの町の知恵や工夫をお寄せください。

■問合せ先
「認知症でもだいじょうぶ」町づくりキャンペーン2007事務局
〒168-0071 東京都杉並区高井戸西1-12-1 認知症介護研究・研修東京センター
電話:03-3334-3073(FAX兼用) 電話受付時間:月~金(祝除く)10:00~16:00
E-mail machican@dcnet.gr.jp  URL http://www.dcnet.gr.jp/campaign/


コメント


私は、在宅の経験がありません。
家族の会で御家族と接して解った事ですが、入所待ちを望みながら在宅でストレスを抱え介護をされておられる生生しい悲痛な現実を知り、どんどん「ゆとり」をなくされていく方の現状も知りました。去年、私の御近所に住む独居アルツハイマーの、お婆ちゃんと出会い、御近所の方達が「あのお婆ちゃん、ちょっとおかしいな~」と言われる様になり交流を始めると、火の不始末も見られ、明らかな認知症の症状が顕著でした。御家族は「年だから」と楽観的だったのですが受診をお勧めすると、アルツハイマー中等度でした。仕事に出ていると気付けなかった事があり、自分の地域の住民や専門職は、何かあってから(御鍋を焦がして窓から煙が出ている)井戸端会議をしているだけで、実際に何か解決策に繋がる様な実働が伴いません。今迄、仕事に行っていると自施設に必然的に注目して1日が終わっておりましたが、自分が住む地域に目を向けた時、認知症の方に対して関わること、「支え合い」が希薄だという事を直視できました。地域の方や専門職は、何故、もっと積極的に協力してあげられないのでしょう…見て見ぬ振りをしているのが正確です。御家族には認知症家族がいる事を隠したがる方もいらっしゃいます。御近所にもいらっしゃるのですが、独居の認知症高齢者さんと隣町に住む娘様は「御近所に知れたら住まわせてもらえない」と隠そうとされました。理解してくれる一部の人は、何かあれば支えとなっていますが、耳が悪くコミニュケーション障害をなかなか理解できずに「可愛くない…」を悪態をつく人もいました。私は、すれ違いが生じた近隣の方達と修復した事で、困った時はお互い様で手伝いをして頂く事もあります。内は、男手がないので御近所に住む方が外套の電球を替えて頂く事もありました。御近所のお婆ちゃん達から、昔の和やかな近所付き合いを聞くと、今は「隣の人は何する人ぞ」で挨拶すらしない人もいらっしゃいます。第二次世界大戦下でさえ、町内会や部落会に属した人達が単位性で配給や互助など支え合いがあったと聞いております。今は、「隣保」という意識が薄れ世情が変わったからでしょうか…支えを求めたくても言いにくい雰囲気を作ってしまった周囲にも原因がありますので、支えを求める事に消極的な方もいらっしゃいます。地域の事業所も「見て見ぬ振り」をする傾向がありますので度外視できません。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月15日 08:23

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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