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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ 2007年08月

新安倍内閣への私の願い

 8月27日、新しく改造された安倍内閣がスタートしました。認知症の医療とケアにかかわりをもつ私としては、ことに厚生行政に期待しています。認知症の方と共に暮らしているご家族の皆様も、同じ想いをもっておられることでしょう。
 さて、私は最近ある診療所で、短時間ですが、認知症の高齢者の診察をさせていただいています。かつて大学病院の部長職をしていたときの立場とは違って、町かどのかかりつけ医として診察しています。立場上の違いもありますが、臨床の難しさを感じると同時に、新鮮な驚きを体験しています。



認知症でもだいじょうぶな町づくり

 私が板橋区に住み始めて約40年になります。当時、幼稚園に通い始めた5歳の長女と3歳の次女の4人家族でした。お隣りにも同じ年齢のお子さんがいました。ところが現在は、老夫婦の世帯がほとんどです。要するに、向こう3軒両隣りは大部分が高齢者になりました。そして天命を全うされるご夫婦もいらっしゃいました。
 日本における認知症の有病率調査をみると、65-69歳群では認知症の方は1%にすぎませんが、5年毎に年齢を重ねると有病率は激増して、85歳以上になると実に25%、4人に1人になるといわれています。



現在も「生きている」過去 終戦記念日によせて

 酷暑とか猛暑とかいわれる暑い暑い日がつづきます。皆様お変わりなくおすごしでしょうか。私はもともと冬が苦手なので、夏の方がずーっといいですね。
 さて、小学生時代の夏休みは、人並みに父と母のそれぞれの実家(尾張愛知の農家)に遊びに行ったり、従兄弟たちと海で遊んだりしました。
 しかし、夏からの連想で悲しいつらい想い出もあります。それは終戦の年です。
 昭和20年5月25日、東京はB-29の大空襲にあい(東京大空襲)、私が当時暮らしていた世田谷区の笹塚も大きな被害を受けました。住むところがなくなり、一家そろって風呂敷包み1つで、静岡県沼津近郊の手臥に叔父を頼って疎開しました。
 父は単身赴任で東京の職場に残り、母と妹と私の3人で、海辺のお寺の一隅を借りて暮らしました。食事は南瓜(かぼちゃ)を煮たもの、それだけでした。



八の日によせて

 今日は8月8日という8が重なった日です。「八」は末広がりで、未来にむけてよいことがひろがるという縁起のいい数字とされてきました。北京のオリンピックも2008年8月8日午後8時に開会式とされていますが、中国でも「八」は吉数の代表格なのでしょう。「八」という漢字は頂点にある山からしっかりと踏まえる姿をみせていて、私にも希望を連想させます。
 ところで、認知症になると、短期記憶(数時間から数日、数か月の記憶)がもっとも損なわれますが、長期記憶(10年前とか若い時の記憶)は比較的、保持されています。



暑い日には水分の補給を大切に 脱水症その2

 先週に引き続き、夏に高齢者が特に気をつけなければならない症状である脱水症についてお話します。

●脱水症を防ぐためには
 人はただ寝ているだけでも、1日1リットル近くの水分が蒸発するといわれています。暑い夏ではそれ以上でしょう。だから、寝たきりの高齢者も十分に水分をとる必要があります。
 脱水症を防ぐためには、喉が渇く前にこまめに水分を補給することが重要です。体重によっても個人差がありますが、最低でも、1日1200ccくらい(持ち歩く大きさのペットボトルで2本分程度)の水分を取るようにしましょう。
 それにもまして、脱水を防ぐ基本は食事をしっかり食べることです。夏は食が細くなりがちなので、3食しっかり食べて基礎体力が衰えないように注意しましょう。もちろん、食事を食べることで水分も補給できます。



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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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