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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

デイケアをはじめよう! その5~ご家族への援助

 認知症の方がデイケアをしている間、ご家族の方へは、悩みを聞いたり相談にのる時間にしました。
 まず、それぞれ自己紹介をして、毎日の暮らしの中で困っていることを語りました。「何回も同じことを言われて疲れてしまう」「昼と夜とが逆転して困る」「失禁でなかなか間に合わない状況がつづいている」「おむつをしてもすぐとってしまって困っている」等々、さまざまな相談が寄せられ、スタッフのナースが答えに窮することもおこりました。
 すると長い介護経験をもつ家族から「そういうときはこうすればいいですよ」とアドバイスがありました。同じ立場の家族からの答えは説得力がありました。

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 しかし、それぞれの家族が24時間、365日介護にあけくれて、しかもその苦労が必ずしも報いられないとか、周囲の理解が得られないとか、あるいは、あの頼りにしていた夫がどうしてこんなことになってしまったのか等々、やりきれない悩み、苦しみをもっていらっしゃることがわかりました。
 涙ながらに語っていただくお話は、私をはじめ、スタッフも他人事ではない思いと共に、涙をおさえることが難しかったことを覚えています。
 家族はデイケアに参加するようになって、認知症の人を抱えた自分と同じ悩みをもつ人と出会い、これまで一人で持ち続けてきた不安や苦痛、または悲しみや怒り、愚痴をお互いにぶつけ合うことができました。
 そして、家族同士の中でも助け合い、励まし合いが見られました。より高度の認知症の人を抱える家族は、軽度の人の家族に対して今後起こる可能性のある行動の障害・症状についての知識やその対応の仕方を教えたり、介護に疲れ果てている家族を仲間が励ましたりする交流が起こりました。


コメント


私も講演会等で在宅介護をしていらっしゃる御家族が涙声で切実な苦しみ悲しみ、悩み等の御気持ちや体験を拝聴した事がありました。何故、「自分の家族が…」と苦しみ困窮した御気持ちを抱えながらも、病気故に変わってしまった御家族を愛し周囲に助けを求めながら今を精一杯生きていらっしゃる日常を垣間見、私ももらい泣きをした事がありました。私が、この家族介護者に悩みを打ち明けられたら介護サービスの利用以外に、精神的な苦痛を和らげる為に、どの様な事を言って差し上げられるだろう?自分の身内に認知症を患った者がいないので、気休めにしかならない事しか申し上げられないかもしれない…背中をさすって受け止めて差し上げる事しかできないかもしれない…そんな気持ちを抱きました。その点においても、今は「認知症の人と家族の会」など、心強い組織があるので御本人にとって救われるのかもしれません。昔の御苦労があるから、今があり未来へと続く。今よりも、一人でも多くの方が認知症の方に対する理解を深めて楽になって頂ける未来作りのお手伝いが出来る一部になりたいと願いながらも歩いております。オレンジリングを持ち歩きながら…


投稿者: 玉本ああゆみ | 2010年01月08日 06:51

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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