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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ

デイケアをはじめよう! その2~手探りでの出発

 当時(1983年)は、認知症を対象にした専門デイケアは未知の領域でした。まして、大学病院で行っているところはありませんでした。教科書も手引書もマニュアルもありません。集まっていただいたのはいいけれど、何をしたらいいのか本当に手探りの状況ではじめました。
 デイケアのメンバーは、アルツハイマー病の臨床診断を受けた方であり、軽度の人は少なく、ほとんどが中等度以上の方でした。送迎に関しては、通常のデイサービスで行われるような車での送迎はできませんでした。時間は、毎週1回水曜日の午前9時から午後3時としました。そのため、後に「水曜会」と呼ばれるようになりました。1回のデイケアの参加者は、7~8人の高齢者とその家族とし、4か月間で次のグループと交代することにしました。

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 デイケアの第1の目的は、患者さんの残っている精神機能を活性化することでした。認知症の人は、記憶や知能を担当する神経細胞は病気にかかっていますが、感情とか人間として何かしたいという気持ちは残っています。これらの精神機能を活性化しようとすることです。
 第2の目的は、家族介護者への援助です。診察時間では聞くことのできなかった、たいへん苦しい、いろいろな悩みを聞き、生活の上でおこる多様な相談にあずかることです。そして、スタッフが積極的に聴く姿勢を示すことで、家族に安心感を与えようと考えました。


コメント


介護保険も施行されていなかった昔、介護も家族支援も、どれだけの御苦労がおありだったか考えると頭が下がる思いです。今は認知症に対する色々な指南書やweb上での満載の情報があり、啓蒙者、サポーターも大勢いらっしゃるので、私達ケアワーカーも楽をさせて頂いていると敬服しております。
認知症という病気が差別的にとられ理解の浅かった時代に新しい息吹を吹き込みニューカルチャー時代を迎える事が出来たのも長谷川先生や家族の会の御尽力が大きいと敬意を表します。
家族支援は、色々な御家族がいらっしゃるので、せめて御家族が心の内を語り易い様な自分自身でありたいと、常日頃自分の精神面での健康にも気をつけています。その為には、自分が楽しいと感じながら仕事をする事なのかもしれません。認知が低下した認知症の人も一人の人間であり、接する事は非常に楽しいです!私は施設派ですが、在宅と施設とでは抱える問題の違いも把握し、柔軟性を身に付けておきたいと学ばせて頂いております。


投稿者: 玉本あゆみ | 2010年01月07日 06:14

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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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