ナマステ! ネパール
昨秋、私にとっては3度目のネパールの旅をした。
ネパールと言えば「ヒマラヤ」「アルピニストたちの憧れの国」というイメージであったが、10年ほど前にネパールからの留学生の日本のお母さんになって以来(私は東京YWCA「留学生の母親」運動のメンバーでもある)、とても身近な存在になった。
3度目の旅は、ネパールに興味のある友人・知人が集まってのグループ旅行になったので、参加者が「行ってよかった!」と思えるような旅にするために乏しい知恵を絞って企画を考えた。そのこと自体、とても楽しい思い出である。
果たして旅は、「観光+α」のα部分が内容の濃いものとなり、結果的に忘れがたいものとなった。
一つには、ネパール(カトマンドゥ)のご家庭を訪問し、その生活ぶりを見せていただき、ご家族と交流できたこと。
もう一つは、日本のNPO法人「日本ネパール女性教育教会(JNFEA)」が支援・運営している、ネパールの女性教師を育成するための学校と生活の場である「さくら寮」を訪問し、交流ができたことである。
ネパールでは人口の90%が農家といわれているが、その主な働き手は女性と子どもたちである。
景色として眺めると美しいが農地としては厳しい条件の「棚田」がほとんどで、規模も小さく、収入にはつながらないのが現状だ。そのため、男性は現金収入を得るため、家を離れて都市に出ている家庭が多い。
世界の最貧国の一つと言われるネパールにあって、農家では就学は男子が優先されている。
前述のJNFEAは、特に女子の就学の機会を広げるため、女性教師を育成し山間部の学校に赴任してもらおうというプロジェクトを、2006年スタートさせた。「いまネパールに必要なことは子どもの教育である」という見地に立ち、10年で100人の女性教師を育てることをめざしている。さくら寮開設もその一環だ。
ネパール第二の都市ポカラに、その学校とさくら寮はある。ポカラにある大学の協力を得て設立された。ここで学ぶ女学生たちは、学ぶ喜びと集団生活の楽しさを語ってくれた。
キラキラ輝くその眼を見て、私たちは忘れていたものを取り戻した思いがし、同時に胸が熱くなった。
また、ポカラ近郊のアスタムコットでは、ハイキングの途中に、丘の上にある小・中学校を訪ねた。
そこの校長先生は、日本からのさまざまな教育に関する援助はネパールの助けになっているとおっしゃった。
民間人の支援グループは、私が知っているだけでもJNFEAに限らずいくつかある。日本人の“善意の底力”がネパールでも発揮されているわけだ。
それにしても、ポカラで仰いだヒマラヤの山々は、ネパールの抱える悩みを忘れさせてしまいそうになるほど、神々しく、美しくそびえ立っていた。
コメント
世界の貧困国の一つネパール、私たち日本人に似た風貌、親しみを覚えますが、TVや本で知る彼らの暮らしは過酷ですね。現地に入り支援の活動をしている日本人グループはいくつかあるようですが、いつの日か幼い子供が働かなくても良いように、女性が楽に暮らせるようになると良いですね。ネパールに滞在し、ヒマラヤの山を目の当たりにした方から人生観が変わったという話を聞きました。物があふれている私たちの暮らし、考え直したいものです。
ヒマラヤの巨大な白い山塊、神が住むと地元では言うそうですが、お金を惜しみなく費やして人手を雇い、豊かな資材を投じてそのピークを極めようという人々が増えているのも事実です。ヒマラヤの山々に残されるゴミの始末が問題になったりして、なんというギャップなのでしょうね。目を輝かして机に向う子供はこちら日本ではあまり見かけない絶滅危惧種? 生きていて何が大事か?!を考える、考えさせることこそ教育なのかと思います。我々のように「豊か」になることを目指さないで、少しでも本当の豊かさを実現していって欲しいと願っています。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。