介護・看護とインドネシア・フィリピン
介護職としてインドネシアから日本に来ていた人たちが全国の介護の現場で働き出したことが、過日NHKのニュースでも大きく取り上げられました。
高齢者介護に多少なりともかかわっている私は、他のニュースより関心をもって見ましたが、「人手不足の介護現場を解消するため来ていただいている」「早く日本になじんで頑張っていただきたい」という思いでいました。
ところが、先だってベルの会でお呼びした、宮崎和加子先生の講演を聴き、目からうろこ。この件にはさまざまな事情や問題・課題があることがわかり、通り一遍のニュースだけでは知らされていないことが多くあることがわかりました。
今回は、宮崎先生のお話から少しご紹介します。
来日したみなさんは、6か月間の日本語の研修を受けて、3年間研修生として日本の介護現場を経験します。その後、難しい国家試験(もちろん日本語のもの)を受け、それに受かってようやく介護福祉士となります。受からなければ強制帰国です。
こういう厳しい条件の下で来られています。この受け入れはEPA(経済連携協定)に基づくもので、政府は「経済協力」であり、人出不足解消のためではないので条件を厳しくしているそうです。しかし、介護現場や一般の私たちでの受け止め方は一様ではありません。
来年度はフィリピンからも多くの人が介護・看護のため来られます。宮崎先生は送り側の状況・事情を知らなくてはと、早速両国に赴かれました。
そこで感じられたのは、「国情・宗教・言語それぞれ違うが、どちらの国も共通することは、介護は家族がしている。人懐こく、ホスピタリティがあり、周囲を温かくする力をもっている」ということだそうです。
今後、他のアジアの国も日本の介護、看護にかかわる方向ですが、「アジア」と一口に言ってもそれぞれに成り立ちや国情、文化が異なります。受け入れる側はしっかりとそれを把握しておかねばならないと思います。
宮崎先生はお仕事のかたわら、インドネシアから来日した人たちの仕事や生活を支援する団体「ガルーダ・サポーターズ」を立ち上げられました。
テレビでも取り上げられ、全国から多くの方が問い合わせや協力の電話が殺到し大変だったそうですが、反響の大きさに喜んでおられました。多くの仲間をつくって、彼らを守って生きたいとおっしゃっていました。
バイタリティ溢れる宮崎先生。3人のお子様を育てられたお母さまでもあります。
お話全体に力がみなぎって、これからの介護・看護をなんとかよい方向に導いていきたいという思いがひしひしと感じ取れました。
若く元気なうちは「介護なんて無関係」と思われるかもしれませんが、いずれはなんらかのかたちでかかわることです。ぜひ国民全体で関心をもつべきテーマだと思いました。
コメント
宮崎先生の熱心なお話は、恥ずかしながら知らない事だらけでした。日本の事情、インドネシアやフィリピンの事情の狭間で実際に日本の施設で働き始めた介護者、今後やって来る介護者事情を来るべき利用者の私達はどれ位知っているのか?現場の事情もさることながら、それぞれの国の事情も絡んで無責任な施策としか思えません。介護保険制度など、役所先行の不自由なシステムとこれらの国と取り決めた介護職の導入の制度とは一体何処に接点があるのかと考えこんでしまいます。将来の利用者は自身を鍛えて限りなく自立・・・はちょっと無理カも知れないなぁ。
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