配達者の財産
ベルの会・会員となり、松花堂弁当をご利用者の方々へお届けするボランティア活動に参加して、はや5年がたちました。
仲間のみなさんのなかには、十数年ずっと続けてらっしゃる方も多くおられます。
メンバーは、雨の日も風のときも、出来立てのお弁当を大切に(水平にして、中味が片寄らないように)車に載せて、元気よく給食センターを出発されます。
ご夫妻で配達なさっておられる方は、車の中も保温(?)が効いて、まさに一石三鳥の風情。現在、4組がご活躍中です。
その他、友人同士で賑々しくコンビを組まれている方も2組いらっしゃいます。
毎週の定刻出勤には、「貴重なお弁当をお届けする」とか「約束を果たす」とかの理由がなくもないことながら、なにか「いそいそとした気分」も少なからず漂っています。
ホットに醸成された、人と人とのふれあいとも言える、「温もりの舞台」への期待があるのではと思います。私はその歓びの「場」へ、松花堂弁当に伴われて行く、言わば登場人物、というわけです。
少々もったいぶった説明になりました。要は、人と会う楽しみが味わえることに他ありません。
それが配達者の財産なのではないでしょうか。
「寒いところをご苦労様ですね」と、笑顔で迎えてくださるご利用者の方々。
「お待ちどう様でした。今日は炊き込みご飯ですよ」と笑顔でお渡しする当方。
「病院へ行っていて、今帰ってきたところですよ。丁度間に合ってよかった」
「○○さんのところの植木鉢には、いつ見ても雑草がぜんぜん生えていませんね。すごいですね」
「娘が週1度訪ねて来て手入れしてくれるのですよ」
こんな他愛のない雑談を、二言三言とり交わしながらのひと時が楽しいのです。
利用者さんのなかには、朝から人との接触のないのが普通の方も多く、「無言の行」のところへのお弁当到着は、「来た来た!」と少しばかりうきうきしたお気持ちになられると聞きます。
たとえ短時間の接点でも、双方が楽しい時間が持てることはすばらしい。
ホットなお弁当に、人と人とのつながりによる「温もりの一瞬」がプラスアルファされれば、そこに配達者の歓びが生じようというものです。
一日で数件味わえる「この歓びが」あるなんて、なんと贅沢なボランティア活動でしょう。
この仲間が増えるのがまたまた楽しい限りであります。
コメント
お話しのように、十数年台所でお弁当を作っている側でございます。この頃時代を感じるのが、まさにご夫婦で配達をする方達の出現です。実にいい眺めじゃありませんか!鎌倉の細い道を楽しそうに話しながら。奥様が利用者を訪問、ご主人は車で待機、対向車が来てもスルスルと道を明けて、ブーブー!!というクラクションで慌てて車に戻る必要も無く利用者との会話もはずみます。「無言の行」は確かに厳しい現実ですが「来た来た!」と短くも温かい会話とともに手渡されるお弁当がまた一つの「語りかけ」となるように、心も新たに作らせて頂きます。
お弁当を食べられることは、本当にスバらしいことです・・・・・・
私の母は認知症ですこしづつ出来ることが少なくなってきました。
食べることもです。経管栄養で生きています。
それでも私たち母の子達は生きていて欲しいです。かわりばんこに会いに行き返事はないのですが話しかけマッサージをし、顔に乳液をつけたりします。
お弁当を作る人、届ける人、食べる人。皆すばらしいとつくづく思います。
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