ベルの会会員からの声~鎌倉とともに、ベルの会とともに~
ベルの会のブログも順調に回を重ねておりますが、これまで、お弁当をつくる人、配達する人、ヘルパーさん、そしてお弁当の利用者さんなど、ベルの会にかかわる多様な方々を紹介してきました。
ことに、人生の大先輩たちは、さまざまなかたちでベルの会を利用して、住み慣れたわが家で年輪を重ねておられます。
今回は、『ベルの会 十五周年記念誌』(2007年)に寄せられた原稿から…。
「鎌倉に住まって六十余年」◆橋本松子
ベルの会が始まった最初から会員になり、お弁当をいただいている私は本当に幸せだと存じます。
べる通信でもう十五年目を迎えたと知り、時の流れの早さに驚きます。
この日ばかりは夕食の心配はいらず、三時半前後に、数件先のお宅に、二箱まとめて届けていただきますので、伺ってお待ちします。
日ごろ一人で暮らしておりますので、その間新聞記事の批判を交わしたり、健康のこと、身の回りの出来事、ちょっと気づいた為になることなど話し合います。
やがてお弁当が届くと、お忙しいのでちょっとお話を交わし、お見送りします。やがて私は帰宅し、仏壇の前にお弁当を供え、なるべく6時には食卓につき、自分ではこれだけの種類多いご馳走は作れないので、嬉しくてお献立を見ながら箸をつけます。
お献立の下には季節の花等がお上手に筆書きしてあり、体調を気遣って下さる優しい一言に感謝いたします。
その昔、長男が大学生の頃、日帰りで楽しめる鎌倉に同級生がよく訪ねて来られ、午後3時頃にはポストに入っている夕刊を見て、「さすがに文化都市だ」とからかわれましたが、当地に六十年余住まって一番有難いと誇れるのは、ベルの会の恩恵を蒙っていることでございます。妹たちや同級生達から羨ましがられます。災害の少ない、気持ちのよい当地で、皆様とともに健康に過ごして参りましょう。
「初明り」◆白井富(故人)
賜はりしいのちなりけり初明り
咲き初めし花に奏づる滑川
花あふれ人溢れをり段葛
源氏の世よりの小流れ蛍舞う
禅林になんじゃもんじゃの花白し
江の電や項にいたきまで秋日
大臣山俄かにかげり秋驟雨
月に祈る何願うとにあらねども
鎌倉に天の戯れほどの雪
地上より天上親し冬銀河
「老来れば」◆上田寿四郎(故人)
老いされば寄せくる波もわが前に優しく折れて笑みくずるらし
中空にいみじき雲のたたずまい薬も忘れスープも冷めぬ
余す無きわが日も今は没(い)りゆくか病室に映ばしの薔薇光
「一年ぐらい未だ大丈夫ですか院長(せんせい)」と訊けばワッハハと哄(わら)いて答えず
「安心しておやすみ」と言いナース去る我が眸(め)そんなに脅えに満つるか
画(えが)きけり、愛しけり、そして天寿を完(まっと)うすマティス八十五、ピカソ九十三
杖とめて白髪の翁去り敢えずフランス美女のタブロオの前
コメント
15日は敬老の日、全国の超長寿の方々の姿が一日テレビに映し出されていました。それにしても最新の方が900番をはるかに超えた利用会員番号は5番!松子様のご健在ぶりは8月の会食会でも感動して拝見いたしました。終始にこやかな笑顔が絶えず、本当に穏やかなお人柄に、こんな風に私も老いてみたい・・・と。
会員番号一桁の方がこんなにお元気でお弁当を楽しんで下さるとは感激ですね。私たちのお弁当作りも励みになります。そして故人となられた方の俳句や和歌、なんと情感あふれ素晴らしいのでしょう!本当に私もこんな風に豊かな心を持って老いてみたい・・。
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