パワーをいただいて
2008年09月11日 09:00
「こんにちは! ベルの会のヘルパーです」
お約束の日時にうかがうと、玄関のカギがかけられています。ご近所の手前、大声を上げ戸をガタガタさせるのもはばかられましたので、そっと中の様子を見てみました。
すると、ガラス越しの障子の奥に電気の灯りが見え、テレビの音もかすかに聞こえます。
訪問先のTさんは93歳のお一人暮らしです。日常生活は、年相応の物忘れは多少あるもののほぼ自立され、現役の絵画教室の先生でもあります。
このお年まで医者知らず、とくに感心したのが、義歯が1本もないことです。「好物は堅焼きせんべいよ」の一言に、さもありなんと納得。
ただ耳がかなり遠く、電話は東京に住んでいらっしゃる娘さんが、安否の確認をかねて、時間を決めてかけていられます。それ以外に連絡したいときは、根気よく、何回もかけるそうです。ご本人とヘルパーは直接電話でのやり取りはしません。
さて、こんなとき、まずヘルパーの頭に浮かぶのは、お家の中で倒れていらっしゃるのではないか、急に具合が悪くなられたのではないか等々、ついつい悪いほうに考えてしまいます。
昨日までお元気だったおとしよりも、転倒や、ちょっとした風邪から肺炎などで寝込むことが多々あるからです。
緊急時の対応が頭をよぎります。東京の娘さんに電話を入れ、そちらから連絡をしていただきました。
幸いこの日は大事にいたることもなく、「あらあら、ごめんなさい。うっかりして…」と、いつものやさしい笑顔で出迎えて下さいました。
「よかった。本当によかった!」と胸をなでおろし、「さあ、今日もTさんのパワーをいただきながら…」と、仕事に取りかかるのでした。
(H.T)
コメント
高齢の方への訪問介護に付き物の「緊急時の対応」についてはヘルパーの皆さんがよく心得ていて、落ち着いた適正な対応がなされます。この方も93歳!Tさんがパワーをいただくと言うのですから(さらに若い私はTさんからパワーをいただいている!)凄い、プラチナパワーというところでしょうか?90歳を超える方達にはやはりある種特別の力があるように思えてなりません。スターウォーズで「フォース」というのがあったなあ・・・あんな感じ!
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