庭の草木が大きな味方
お弁当は、ふたを開けた瞬間が勝負。
「まあ、おいしそう」と思っていただけるようには、色合いよく季節感を出すことです。その心強い助っ人となってくれるものが、わが庭の草木です。
あでやかな深緑の椿(つばき)の葉は、椿を表現した「練り切り」(甘味の和菓子)に添えます。練り切りの形が少々ぶかっこうでも、葉っぱ1枚添えることでかならず椿に見えてくるから不思議です。
また椿の葉は、道明寺粉であんを包み、餅の上下を葉で挟んだお菓子「椿餅」にも用います。椿の鮮やかな深緑の葉は、寒い季節にぬくもりを感じさせます。
ちなみにこのお菓子は源氏物語にも登場し、平安貴族も食していたものです。
夏みかんはマーマレードにし、葛粉とあわせて「マーマレード葛羹」のできあがり。または実をジュースにして、実をくりぬいた皮に、ジュースを加えた寒天液を注ぎ、「マーマレード羹」。
いずれも夏みかんの葉を添えると、だいだい色がより鮮やかになります。
柑橘の酸味が鶏肉の臭いを取り、さっぱりとした肉料理、「鶏肉のマーマレード煮」にもできます。
柿の若葉にはお魚をのせます。もみじの若葉は田楽味噌を使ったナスや、里芋の横に添えて。茶色や黒っぽい食材に対し、青葉が爽やかさを与えます。
秋から冬には、南天の葉も大活躍です。また、山椒の葉は若竹煮や煮魚に添え、大きく成長したのはすりつぶして木の芽田楽の材料にします。
ミントは牛乳を使ったゼリーやブランマンジェに添えます。ミルクの白が輝きます。
このように、広くもないわが家の庭の草木が大活躍してくれています。草木となると花にばかり注目しますが、葉っぱも役立っているのです。一枚いちまいを大切に、虫がつかないように育ててあげようと思っています。
実はこれらの草木は、最初の家の持ち主が植えたものや、実家や友人から分けてもらったものばかりです。植えてくれた人、分けてくれた人のおかげで、お弁当つくりもできるのだと感謝しています。
コメント
改めて庭を眺めると、毎日の暮らしを豊かにしてくれる力強い味方がたくさんありますね。なんでもないお惣菜が生き生きとなって、外出もままならないお年寄りもきっと喜んでくださると思います。良いヒントを有難うございました。
日本のお料理には花や葉が本当にすてきな名脇役として活躍していますね。その一枚の葉から季節を感じ、四季の移ろいに心を踊らせる日本人の感性はこまやかですばらしいものがあると思います。お弁当の中にそんな季節を見つけたらきっとうれしいことでしょう。作り手の気持ちが受け取る方にもきっと伝わると思います。
あら~! グレ様だって! 懐かしいお名前…。 そうです、葉っぱ一枚でもお弁当は見違えるほどステキに仕上がりますね。 蓋を開けると、真中の甘味の下から、お魚の脇から、「まあ、」と先ずは季節が目に入るの。 作り手の心がもう一つ加わる感じです。 四季折々、召し上がる時に、ふと思い出も…。 あらステキ!
とっても素敵なお話ですね。すごく温かい気持ちになりました。このお弁当をあけるおばあちゃま・おじいちゃまのお喜びになるお顔がいっぱい創造できますね。デパートでもコンビニでも決して売っていない最高のお弁当ですね。Y.Oさんありがとうございました。日本人で良かったあ…。
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