宝物の100円
2008年05月22日 09:00
Yさんは、手と足がご不自由です。庭側の窓を開けて応対されます。いつものようにお弁当をお渡しして、用意された袋におつりをいれると、底が抜けていたのでしょう、コロコロと200円が転がり落ちました。
一つはすぐに見つかったのですが、もう一つがどうしても見つけられません。Yさんは「100円ですから、もう結構ですよ」と恐縮されます。まだこの先たくさん配達があってあせっていた私は、申し訳ない気持ちで、でも失礼してしまいました。
次の日、配達まで時間があったのでお訪ねしました。ちょうど入浴介助のようでヘルパーさんが見えていましたが、「10分か15分探してなければ帰りますから」と、無理を言って勝手に探させていただきました。
すると、落ち着いてみれば見つかるもので、昨日さんざん見たはずの鉢の中に、100円が光っていました。窓には鍵がかかっています。どこかに置こうとふと見ると、そこにヘルパーさんの靴が…。
申し訳ないけれど、その中に手紙と一緒に入れて帰りました。
翌週、ニコニコ顔のYさんが縁側に出てこられました。
「よく探してくださって、あの100円玉は宝物にして使わないようにしまってあります」
そして、美味しい美味しいチョコレートまで頂戴してしまいました。
自分の勝手で収まらない気持ちを押しつけたみたいで、少し後悔しながら配達をスタートしたのですが、すっかり気分が良くなっていて。
われながら現金だなあと、チョコをほおばりながら思いました。
(M.S)
コメント
御弁当の配達だけでなく心の配達もなさっているのですね。大切な御仕事頑張って下さい。
ずいぶん価値のある100円玉ですね。こういうお気持ちの配達の方があり、それに応える利用者の方がいらして、ステキ! どちらもお弁当の日が楽しみなんでしょうね。拍手!
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