庭の草木が大きな味方
お弁当は、ふたを開けた瞬間が勝負。
「まあ、おいしそう」と思っていただけるようには、色合いよく季節感を出すことです。その心強い助っ人となってくれるものが、わが庭の草木です。
あでやかな深緑の椿(つばき)の葉は、椿を表現した「練り切り」(甘味の和菓子)に添えます。練り切りの形が少々ぶかっこうでも、葉っぱ1枚添えることでかならず椿に見えてくるから不思議です。
また椿の葉は、道明寺粉であんを包み、餅の上下を葉で挟んだお菓子「椿餅」にも用います。椿の鮮やかな深緑の葉は、寒い季節にぬくもりを感じさせます。
ちなみにこのお菓子は源氏物語にも登場し、平安貴族も食していたものです。
宝物の100円
Yさんは、手と足がご不自由です。庭側の窓を開けて応対されます。いつものようにお弁当をお渡しして、用意された袋におつりをいれると、底が抜けていたのでしょう、コロコロと200円が転がり落ちました。
一つはすぐに見つかったのですが、もう一つがどうしても見つけられません。Yさんは「100円ですから、もう結構ですよ」と恐縮されます。まだこの先たくさん配達があってあせっていた私は、申し訳ない気持ちで、でも失礼してしまいました。
花まつりの日のレシピ
「小さな ひしゃくで お茶くんで かけてあげましょ お釈迦さま」
4月8日は花まつりでした。お釈迦様のお誕生日ですね。
お弁当に甘茶をそそぐわけにはいきませんが、鎌倉ベルの会では、四季折々の季節感を皆さんに楽しんでいただくために、旬の食材を使ったお弁当づくりを心がけています。
今回は、4月8日のお弁当から3品のレシピをご紹介します。
ぜひつくってみてください。
M先生のこと
90歳の今でも現役料理研究家(以前、NHK「きょうの料理」の講師なども勤められた方で、著作も多数)として、月数回指導していらっしゃるM先生。
先生のもとには、三十数年通い続けるお弟子さんも多くいらっしゃいます。その多くの方は、指導者として活躍中の方ばかり。みなさん、M先生のお人柄と、長い経験に積み重ねられた確かなご指導にひかれてやって来ます。
M先生は常々、こうおっしゃいます。
「お料理はすべて、基礎・基本を学ぶことが大切。計量の基礎ができていないと的確な味が出せず、いつもいい加減な味になってしまうのです。計量の基礎さえ身につければ量が変わっても常に同じ味を出せるもの。バリエーションも広がり、考えもつかないほど楽しみは増えますよ」