認知症と薬(3)
【Q】
薬の服用、管理では私たちには手に負えない方がいらっしゃいます。部屋の引き出しには飲んでいない薬の山、調剤していただいた薬剤師の先生に一度見て欲しいです。
【A】
確かに薬を拒否される方がおられますね。
薬の山は、「病気は治らない、医療費の無駄」ということで、まさにダブルパンチです。
介護保険のサービスの一つに居宅療養管理指導がありますね。
薬に関しては、医師が必要と認めたときに、事業者として登録している薬剤師が利用者の家庭を訪問し、服薬の指導、薬の管理指導、薬歴の管理を行うものです。
このサービス、有益なのですが、あまり普及していません。
現在は居宅療養管理指導の事業者として登録している薬局は全国で6割以上ありますが、実際にサービスを提供したのはわずか1割です。
どうやら、「医師が必要と認めたとき・・・」がネックのようですが、薬剤師側の言い分は、「応需体制を整えているが、医師からの指示がない」というもので、一方で、介護側の言い分は、「薬剤師に来て欲しいが、薬局からの情報がない」というものです。
何だか野球で言えば、外野に上がったボールを野手がお見合いをして真ん中にポトリという感じです。
でも、よく見てみると、このサービスをうまく活用している介護事業者がいます。
活用している事業者の共通のポイントは「医師」「薬剤師」への働きかけ、情報提供(要するに営業)です。
私の関係する訪問介護の事業所では、自ら情報を発信し、必要性を医師などに説得した結果、いままで居宅療養管理指導の利用は月に5件だったのが100件に増えました。
そして、その結果。
訪問介護側は、服薬の指導、薬の管理が薬剤師に安心して任せられるので、介護職が本来の仕事に専念できるようになりました。
薬局側は、調剤した薬のフォローができて、本来の薬局のあるべき姿になってきました。
かかりつけ医側も、服薬状況が改善し、安心して治療方針が立てられるようになりました。
まさに、WINーWINーWINです。