身体管理で注意すべきことは?
2012年12月20日 09:10
【Q】
薬物療法をしている患者さんの身体管理では、どのような面を注意すべきでしょうか。
【A】
薬物療法の開始にあたっては、既往歴、現在の全身状態によって慎重投与または投与禁忌が指示されます。一般的に、脳損傷などの既往歴がある場合、現在意識障害を起こしている場合は、神経伝達の抑制または機能調節の障害などから重篤な副作用が出現する危険性が高いために、投与禁忌となります。心伝導の障害、循環性虚脱、造血機能の障害、重症肝機能障害なども同様です。また、けいれん発作の既往のある患者さんも、投与量によってはけいれんを誘発することがあるので注意が必要です。このため看護者は、治療開始前に正確な患者さんの情報を慎重に聴取しておく必要があります。
しかし、患者さんの精神状態が不安定だったり、また家族の疲労が重積していたりと、既往歴に関する重要な情報をうっかりスタッフに話し忘れることがあります。したがって、そのような可能性を念頭においておくことが重要で、投与後は患者さんの全身管理、たとえば、バイタルサインの測定や、食欲、排泄、湿疹の有無、歩行状態などを観察することが、看護者の重要な役割となります。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011。