作用・副作用が出現する時間
2012年12月18日 09:10
【Q】
向精神薬を服用する場合の、作用が出現する時間と副作用が出現する時間の関係について教えてください。
【A】
薬理効果の発現ですが、抗精神病薬を服用するとまず、肝臓で初回通過効果がみられます。初回通過効果とは、薬物が肝臓から門脈循環を通過する時にそれらが非常に高い率で代謝することです。その結果、経口薬の効果は年齢、性別、体重によって個人差はあるものの、一般的には2~4時間で最大となります。そして、肝臓で代謝された薬物は水溶性が高くなり腎臓を通じて排泄されます。次に副作用の出現ですが、定型抗精神病薬のほとんどが18~40時間の半減期をもつものの、薬物の吸収時間には個人差があるため、経口投与による薬物血中濃度の動態は、人それぞれでかなり幅があります。したがって、必ずしも均一の期間に副作用が出現するわけではなく、また副作用の種類によっては服薬後数日してから症状が出ることもあります。例えば、高力価群であるハロペリドール(セレネース)の場合は、投与後1~3日でジストニア発作を生じやすいのですが、さらに数日ないし数週間後になってアカシジアやパーキンソニズムを起こします。その対策として、ハロペリドール開始後まもなくから抗パーキンソン薬の併用の必要性が出てきます。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011。