便失禁
2012年12月07日 09:10
【Q】
老人保健施設で働いているケアワーカーです。1か月前より入居しているお年寄りについてご相談します。老健で特養の入居待ちをされています。この方は、78歳の女性で脳血管障害の既往症があり、車椅子生活で軽い認知症の症状もあります。
尿の漏れがあっておむつをしているのですが、定期的にトイレ誘導すれば何とかおむつが外れるのではないかと考えています。しかし、便失禁もあるため、おむつは外せないのではないかという意見がほかのケアワーカーから出されました。
便の漏れ方としては、毎日少しずつ下痢状の便がおむつに出ているという状況です。下痢止めを処方してもらうと、一時的にはよいのですが、2~3日後にはさらに便の量が増えたりして困っています。何かよい方法はないでしょうか。
【A】
便の総量や、食事や薬について尋ねたところ、ケアワーカーのお答えは次のようでした。
「便の総量については、出ているということであまりチェックをしていませんでした。泥状の便なので多くあるようにも見えますが、実際は大した量ではなかったかもしれません。日常の動きもあまりなく、水分もあまり欲しがる方ではないので注意はしていますが、十分摂れていない可能性があります。薬は降圧剤を服用していますが、ひょっとしたら利尿作用のある薬かもしれません。どのようなときに漏れているのかは確認していませんが、確かに止痢剤を飲んだときは食欲も落ちているような気がします」
そこで、まず次のような対応を提案しました。
(1) | 排便量をきちんと見極めること。 |
(2) | 止痢剤は中止すること。 |
(3) | 毎朝食後に必ず30分以上便器に腰かけてもらうことを日課とすること。 |
(4) | 洗浄便座があれば、それによって肛門を刺激して排便反射を促すこと。 |
(5) | 水分摂取量を1日1200ml以上に保つこと。 |
(6) | 看護師と相談して薬をチェックすること。もし、利尿作用のある薬であれば脱水に注意し、主治医にも相談すること。 |
(7) | 排便が促せないときは摘便を試みること。 |
(8) | 嵌入便があると判断したら、一度下剤を処方してもらい、排便量を確認して十分出たようであれば生活習慣を整えること。 |
出典:西村かおる著、『こちら、お漏らし110番―排泄とそのケアにズバリお答えします』、2000年、中央法規