重篤な副作用・禁忌
2012年12月17日 09:10
【Q】
副作用について、注意しなければならない、見逃してはならない重篤な副作用、あるいはその徴候にはどのようなものがありますか。
【A】
抗精神病薬の服薬に伴い、見逃してはならない重篤な副作用として、悪性症候群があげられます。悪性症候群は一般に、抗精神病薬や抗パーキンソン薬を中止したり、用量変更、使用開始に伴って認められます。悪性症候群は、筋緊張や振戦などの錐体外路症状に、発汗や頻脈など自律神経症状、さらに高熱と意識障害を特徴とする症候群です。早期に治療しないと重篤で不可逆的となり死亡する危険もあります。
悪性症候群の予防には、錐体外路症状からカタトニア、悪性症候群に至る一連の病態を連続したものと理解し、悪性症状群を単独の症候群とは見ず、神経遮断により生じる錐体外路症状が重症化したものと認識することが重要です。
もう一つの重篤な副作用として、セロトニン症候群があります。セロトニン症状群は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と三環系抗うつ薬(TCA)を併用し、薬剤の相互作用、薬剤変更する際の不適切な休薬期間、特異体質の反応で起こる症候群です。SSRIやTCAの使用を開始するのは、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)を中止して型2週間経過後にする必要があるといわれています。
セロトニン症候群の症状として、下痢、発汗、振戦、筋硬直、ミオクローヌス、自律神経症状があり、幻覚や高熱に発展し、致死的となることもあります。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011。