認知症とくすり
2012年11月26日 09:10
【Q】
抗認知症薬は効果の判定がなかなか難しいとのことのですが、介護職としてどう対応していけばいいのでしょうか。
【A】
確かに難しいですね。現在の抗認知症薬はアルツハイマー型認知症(AD)の症状の進行を抑えるという効能です。効果の判定が難しいのは、鎮痛薬や解熱薬のようにはっきりと自覚できたり、数値でわかったりするものではなく、何となく今までより進行が遅くなったようだとか、穏やかになり、介護の手間がやや楽になったなどというやや漠然としたものだからです。
一般に、薬の有効率は、「著明改善」「改善」「軽度改善」「不変」「軽度悪化」「悪化」「著明悪化」の7段階で調べます。私たちが「効いている!」と認めるのは「著明改善」と「改善」の2つです。「まあ効いているかな」といえる「軽度改善」まで含める場合もあります。
アリセプトの24週服用の臨床試験では、「著明改善+改善」で17.3%、「軽度改善」まで含めると51.8%でした(Homma,A,etal.:Dement,Geriatr,Disord.,11,299,2000)。
17.3%というと5人に1人、51.8%では2人に1人、皆さんの現場での印象はいかがですか?
ただ、「不変」以下が約半分あります。それにどう対応するか、中止するか、増量するか、ほかの抗認知症薬に変更するか、違うタイプの抗認知症薬を併用するか、いろいろ選択肢が考えられます。難しい決断ですが、介護職としても、自分なりの考えを持っておきたいものです。