記録の注意点
【Q】
介護記録を書く際の注意点を具体的に教えてください。
【A】
介護記録の種類や目的によってさまざまな注意点がありますが、主なものを以下に挙げてみます。
●まず大切なのは、「コンプライアンス(法令順守)」の視点です。介護保険制度では、サービスごとに定められた「運営基準」に、必要な記録の種類が明記されています。これらの記録を、記録の意義や目的に沿った形式で残すことが求められます。
●また、介護サービス事業者は、利用者・家族に対して、提供しているサービスについてわかりやすく説明する責任があり、記録はその役割を担っています。したがって、できるだけ具体的に、正確に記録するようこころがける必要があります。
●介護の記録のうち、特に「サービス提供記録」については、「サービス提供日」「具体的なサービスの内容」「利用者の心身の状況」「その他必要な事項」を記録することが求められています。これらの記録は、提供しているサービスが、利用者の短期目標・長期目標の達成に向かっているか等、日々の業務を振り返る材料としてとても重要な意味をもちます。
●介護はチームで行う仕事です。したがって、記録がチームで共有され、ケアに活かされるよう配慮が必要です。チームで情報が共有されなければ、利用者にとって不利益になるだけでなく、重大な事故につながる可能性もあります。
●介護は、24時間、365日継続します。したがって、その記録も毎日続くことになります。毎日、利用者一人ひとりの記録を残していくことは、大変な労力と時間を必要とします。したがって、効率よく適切に記録することが求められます。
●記録は、利用者・家族をはじめ、多くの関係者が目にする可能性があります。したがって、専門用語や略語、敬語等を適切に使用すること、記録を修正したり、訂正したりする場合のルールを決めておくことも重要です。
出典:田形隆尚著『わかる・伝わる・つながる 根拠ある介護記録のつくり方』中央法規出版、2012