利用者の生活状況のとらえ方・記録の仕方
【Q】
利用者の生活状況について、どのようにとらえ、どのように記録したらよいか教えてください。
【A】
利用者の生活状況について「いつもと変わりなし」「特に変化なし」と記録して済ませてしまってはいないでしょうか。施設で生活している利用者については、24時間、365日ケアが継続していくため、記録の大変さもあるでしょう。また、同じような毎日なので、何を書いたらよいのかわからない、という声を聞くこともあります。
そのような場合は、利用者の「長期目標」を意識して記録するとよいでしょう。利用者一人ひとりについて、長期目標をもう一度確認し、その目標に照らして、今日の生活がどうであったか、支援は適切であったか等を記録することが大切です。
さらに、利用者が朝起きてから寝るまで、何をしたのかが詳しく書かれた記録もありますが、介護の記録は、利用者がその日に行ったことや介護職が利用者に対して行った支援を書き並べるだけでは意味はないでしょう。
例えば、入浴したかしなかったかは、○×でチェックしてデータ化してはどうでしょうか。また、食事の摂取量については、「全」「半」「無」などと分類して記録し、これもデータ化します。このデータで利用者の生活行為について把握し、いつもと異なるデータがみられた場合に、そこに注目して、その理由や原因を検討し、記録します。
利用者の生活状況を把握するには、生活行為を行ったか否かを把握することよりも、日ごろと異なるデータが得られた場合に、その原因を検討し、解決方法を見出すことが重要なのです。これも重要なリスクマネジメントです。
もちろん状況の悪化だけをとらえるのではなく、例えばレクリエーションに参加したときの様子や表情の変化、入浴中の他の利用者とのかかわりなどについて、長期目標を意識しつつ、具体的に記録するとよいでしょう。
出典:田形隆尚著『わかる・伝わる・つながる 根拠ある介護記録のつくり方』中央法規出版、2012