利用者の身体状況のとらえ方・記録の仕方
2012年10月31日 09:10
【Q】
利用者の身体状況について、どのようにとらえ、どのように記録したらよいか教えてください。
【A】
情報の共有がむずかしいといわれる背景には、記録に残された情報の「根拠」が明確でないということがあります。つまり、どんなに詳しく記されていても「○○のようだ」「○○らしい」などと、伝聞、推量の形式で書かれていては、聞き手、読み手には正確に伝わりません。
例えば、「熱があるようだ」「痛みがあるようだ」と記録するのではなく、実際に熱は何度あるのか、前回の測定と比較して下がっているのか上がっているのか、痛みを訴えているのか、訴えているとしたらどのように表現しているのか、さらにはその状況を医療職と“共有”出来ているのか、繋いでいるのか……などを、事実に即して記すことが大切です。このような記録は、リスクマネジメントにもつながります。
なお、専門職として気づいたことを無駄にせず、適切な支援につなげるためにも、明らかな事実と状況証拠、そこから推測できることを明確に区別して記録することが大切です。
また、利用者の発言については、発せられた言葉、“そのまま”を記録したほうが良いでしょう。事実をありのままに記録することで、情報の行き違いや誤解を防ぐことができますし、共有を深める事も可能となります。
出典:田形隆尚著『わかる・伝わる・つながる 根拠ある介護記録のつくり方』中央法規出版、2012