入院・入所期間の短縮化について、利用者に説明するのが大変です……
2012年10月15日 14:00
【Q】
これまでもずっと関わってきた利用者ですが、上司からは、「うちでは対応が困難だから、他機関を紹介して」と言われました。何かよい方法はないでしょうか?
【A】
援助者として利用者のことを考える一方で、早期退院・退所を目標に掲げる所属組織、ひいては、現在の日本の保健医療福祉制度の情勢についても目を向ける必要があります。考える際のポイントは、(1)利用者のための生活環境整備、(2)予防的支援体制づくり、(3)利用者の代弁などです。
(1)の場合は、あくまで入院・入所期間の短縮化が目的なのではなく、利用者の生活環境整備を効率的・効果的に行うことが大切となります。つまり、治療やリハビリ、療養などのサービス事業所の機能に応じた、効率的・効果的支援を考えなければならないということです。また(2)でいえば、早期の退院・退所にあたり、支障をきたすことが予測される利用者が多いのであれば、他職種との協議のうえ、あらかじめその人たちを支援するプロセスやプログラムを提示する必要も出てきます。最後に(3)ですが、このような生活上の課題を持っている人が現状として多いのであれば、行政や社会に対してそのニーズを訴え、制度やサービスの整備を求めていくことが、利用者の代弁となり、また、ソーシャルアクションとしても、重要な意義を持つことにつながります。
このように、利用者に対しても、組織や社会に対しても働きかけるという総合的な取り組みが必要とされています。
出典:神山裕美・木戸宜子『対人援助・生活相談サポートブック』中央法規出版、2008年