副作用の見極め方
2012年10月09日 09:10
【Q】
副作用についての情報を収集し、ケアに役立てるには、看護者にどのような知識が要求されるでしょうか。
【A】
薬物療法における看護の大きな役割は、患者さんからの訴えを軽く流さず、副作用を念頭に置いて注意深く聞くことです。副作用は時に、身体症状、精神症状と鑑別するのが容易ではありません。処方の変更、睡眠状態、回復過程、初検査データ、バイタルサイン、自覚症状などに思いをめぐらせつつ、鑑別に必要な情報を把握することが大切です。
看護記録が充実すれば、医療者間の情報の共有に役立ちます。処方変更後や頓服薬使用後は、必ず時間的な経緯がわかるように、その反応を記録しておくことが望まれます。看護スタッフ間で情報を共有できれば、観察の焦点が明確になり、早い段階で副作用に気づくことができます。副作用対策の多くは、処方の変更、抗パーキンソン薬の与薬などでなされますから、主治医の指示を待たなければなりません。
適切な情報を主治医に提供し、処方に役立ててもらうのは、看護者の重要な役割です。これが副作用に対しての看護者固有のかかわりといえるのではないでしょうか。少なくとも、生活場面で副作用を把握できるのは看護者のみです。主治医の判断には、面接での情報収集もありますが、多くはこの看護情報が影響します。
出典:辻脇邦彦・南風原泰・吉浜文洋編『看護者のための精神科薬物療法Q&A』中央法規出版、2011