高齢者の住民票の閲覧・交付等を制限
2012年10月05日 09:10
【Q】
養護者に高齢者の居場所を知られないようにするために、高齢者の住民票の閲覧・交付等を制限することはできますか。
【A】
住民基本台帳法第12条1項では、「住民基本台帳に記録されている者は、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長に対し、自己又は自己と同一の世帯に属する者に係る住民票の写し又は住民票に記載をした事項に関する証明書の交付を請求することができる。」としていますが、同時に、「市町村長は、第一項の規定による請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる」と規定しています(第12条第6項)。
この条項については限定的に解釈すべきであるとの見解もありますが、ドメスティック・バイオレンス(DV)の場合と同様に取り扱うことが可能です。これらを制限する規定を設けている市町村もあります。
そのような規定を設けている市町村では、高齢者への影響を避けるために居所を秘匿したり面会制限をする必要がある場合には、市町村に申請して住民票の閲覧・交付等を制限することが可能です。
また、高齢者が成年後見制度を活用している場合、介護保険サービスや後期高齢者医療制度の利用状況の郵送先を後見人等が指定する場所に変更することが可能かどうか、庁内関係部署に問い合わせをするなど、養護者に高齢者の居所が特定されないような配慮も望まれます。
*養護者とは…
高齢者虐待防止法では、養護者の定義を「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のものをいう」と定めています(第2条第2項)。
出典:社団法人日本社会福祉士会編『市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き』中央法規出版、2011年