高齢者虐待をする可能性のある養護者が面会を強要してきた場合の対応
2012年10月04日 09:10
【Q】
高齢者虐待防止法に基づく面会制限をすることができない(「やむを得ない事由による措置」によらない)老人ホームに入居している高齢者について、その高齢者を連れ戻して虐待を加えるおそれのある養護者等の面会を制限することはできますか。
【A】
前述のとおり、施設長は、施設管理権を有しています。そのため、この施設管理権に基づいて、高齢者に対してさらに虐待をする可能性のある養護者等に対して、施設自体あるいは部屋への立入りを拒否することができます。
その結果、措置に基づく入所だけではなく、契約により施設に入所した場合や病院に入院している場合など、高齢者虐待防止法第13条の適用がないケースでも、高齢者を保護するため親族などの面会を制限することが可能であると理解できます。
ただし、面会制限の要否の判断は、施設長が単独でするわけではありません。あくまで虐待対応の一環として、市町村と施設長が十分協議をしたうえで、一定の基準に従ってなされるべきです。例えば、高齢者が養護者に会いたいとの意向を有しているか否か、その意向はどのような判断に基づいたものか、養護者に面会させることにより、高齢者の精神的な動揺を招き、その後の施設での生活に混乱を来たさないか否かなどについて、市町村と施設とで検討する必要があります。
*養護者とは…
高齢者虐待防止法では、養護者の定義を「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のものをいう」と定めています(第2条第2項)。
出典:社団法人日本社会福祉士会編『市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き』中央法規出版、2011年